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出血Hemorrhage(Bleeding) ~ 出血は損傷の重要徴候の一つで、病状の経過、治療処置などに深い関連を有します

出血Hemorrhage(Bleeding) 出血・止血および輸血

 
 
組織が損傷をこうむり離断されると、血管もまた損傷を受けて出血をみる。出血は損傷の重要徴候の一つで、病状の経過、治療処置などに深い関連を有します。
 
 
出血の程度は損傷をうけた血管の状態によって左右されますが、また加わった外力の種類によっても異なってくる。さらに損傷を受けた部位、動物の種類、全身状態なども関連する。
 
 
これらの条件はまた止血にも重要な関係を持つ。
 
 

外出血(external bleeding)

 
 
出血が体外に向かって発現する場合であり、一般に損傷に伴ってみられる出血はおおむねこれに属しますが、出血の程度は損傷された血管の数、大小およびその種類によって差異がある。
 
 
また損傷の種類によっても異なり、一般に切創の場合は出血量が多く、挫創では血管断端が挫滅され、内腔が閉塞縮小するため、出血は少ないことが多い。
 
 
また部位的にも、血管の種類、大小および周囲組織との結合状態によって出血量は異なり、同一血管でも損傷の方向によって差異がある。
 
 
顔面、鼻腔は血管の分布に富むため比較的出血量は多い。
 
 
出血はその状態から動脈性出血arterial bleeding、静脈出血venous bleeding、毛細管性出血capillary bleeding、および実質性出血parenchymatous bleedingに分ける。
 
 

内出血(internal bleeding)

 
 
体内に向かって出血があった場合であり、出血した血液の所在によって体腔内または管腔内出血と体組織内閉鎖性出血とに区別できる。
 
 
前者は腹腔、胸腔、頭蓋腔、関節腔内の出血、または消化管内、尿路内、気道内出血のごときものであり、後者は四肢皮下、筋肉内の血腫などです。
 
 
臨床的には前者の方が重要であって、臓器別にみると頭蓋内出血(硬膜外出血、硬膜下血腫、脳室内出血など)、鼻粘膜毛細管よりの出血である鼻出血nasal bleeding(epistaxis)、肺よりの喀血expectoration of blood(hemoptysis)
 
 
胸腔内出血の血胸hemo⁻またはhema⁻tothorax、胃腸管内出血が口から吐出される吐血hematemesis、また肛門から排泄される下血melena、肝、脾、膵の破裂、腸間膜損傷あるいは子宮外妊娠破裂による腹腔内出血、腎、膀胱などの破裂または結石などにより尿中に血液が混じる血尿hematuriaなどが挙げられます。
 
 
その他雌雄生殖器の出血も内出血としてみられる。
 
 
動物でしばしば発症する蹴傷や挫傷でみられる皮下出血では皮膚の表面には損傷を認めず皮内あるいは皮下組織に出血をおこすが、出血が限局性で少ないときは、点状出血petechia、多少それよりも広くなった状態は溢血extravasationといい、血管外に出た血液が腔洞内に集まった状態を血腫hematomaと称し、特に胸腔内にたまったものを血胸hemothoraxといいます。
 
 

出血の全身におよぼす影響

 
 
小量の出血は生体に対してほとんど影響はありませんが、大量の出血は失血exsanguinationといい、創傷の予後、ひいては生命に重要な関連をもちます。特に出血の速度は動物の抵抗力に重大な影響を及ぼします。
 
 
全血量の1/3以上を失った場合は、その回復はきわめて困難であり、1/2を失うと致死的であるといわれています。
 
 
失血によって発現する重篤な症状は、一つは赤血球の減少によって重要臓器の酸素欠乏を招き、また血漿喪失によって栄養の補給が不十分となることです。
 
 
次に循環系内腔容積と流血量との均衡が破れるために心機能に支障をきたし、急激に心衰弱を招くことです。血液は本来蛋白膠質溶液であるから、塩類などの晶質液を補給して全量を回復させても、これらの障害から逃れることは不可能です。
 
 
失血の全身症状としては主として出血性ショックを認める。即ち血圧降下、血液凝固の亢進、脈拍数の増加、呼吸促拍および血管収縮などが現れます。
 
 
しかしある限度内の失血は比較的すみやかに回復することができる。とくに毛細血管や小血管よりの出血の場合は、全身的変化は軽く、局所血管端の収縮、内膜の内腔への反転、凝血などによって徐々に自然止血spontaneous arrest of hemorrhageが見られます。
 
 
実際に馬などの大動物は相当多量の出血にもよく耐えるが、小動物においては実際の出血量が少量でも体重比にすれば相当多量の出血になるから、つねに注意しなければなりません。
 
 

出血に対する処置

 
 
出血に対する処置として基本的に考えられることは止血と補血です。出血の部位をつきとめて、その局所において永久止血を講ずることがもっとも望ましい。
 
 
しかし部位によっては、器械的止血法を適用できないことがしばしばあります。
 
 
従来から各種の薬物が器械的止血法の補助として、また手術時の出血予防のため、あるいは後出血の処置また内出血の治療に用いられています。
 
 
血液凝固の機序に関する最近の研究は有効な止血薬の開発をうながし、出血に対する処置として活用されつつある。また大出血に対しては、速やかに全血輸血を行うが、その際出血量を上回る量の輸血を実施するのが原則とされています。
 
 
しかし動物の場合には、輸血の適用性に関して種々の条件があるので、ただちに実施するには慎重な考慮を要します。

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