ニワトリ疥癬症とは
ニワトリアシカイセンダニが寄生して起る皮膚病で、ニワトリでは脚に増殖性の角化した痂皮形成と趾列の変形を認め、重症になると歩行困難となります。

鶏脚疥癬症はどのように感染しますか?
鶏脚疥癬は、感染した鶏または鶏群と直接接触することにより、鶏の間で広がります。
最初に野鳥、げっ歯類を通して、またはすでに土壌および周囲の環境に存在することにより感染します。
鶏脚疥癬症はどのように治療されますか?
最初にダニを窒息させ、新しい鱗の成長を促進するために、感染した各鳥の脚と足にパラフィンオイルまたはワセリンを塗布します。
古い損傷した鱗屑が落ち、新しい健全な鱗が成長するまで毎日繰り返します。
もちろんイベルメクチン・ポアオンを背中側の頸元地肌に滴下による同時治療したうえでのワセリン塗布です。ワセリン塗布だけで疥癬ダニは駆除できません。
鶏脚疥癬症の治療
●パラフィンオイルまたはワセリン
鳥の脚と足に塗ります。
ワセリンHG 徳用500g
●イベルメクチン
2週間に1回、0.2mg / kg体重の用量で経口(注射液)または局所投与(ポアオン)。
最初の治療の2週間後、鱗は剥がれ落ち、3回目の治療では新しい鱗が生えているはずです。
●モキシデクチン
ポアオンまたは注射剤は両方とも有効であり、0.5%および1%の製剤で利用できます。
イベルメクチンでの鶏脚疥癬治療
鶏病研究会報にてイベルメクチンでの鶏脚疥癬治療についての論文
烏骨鶏19羽を飼養していた農家で、鶏脚疥癬症の発生を認めた。
発生は12ヵ月齢以上の7羽にみられ、脚に増殖性の角化した痂皮形成と趾列の変形を認め、病変部の擦過標本を鏡検したところ、多数のニワトリアシカイセンダニ(Knemidocoptes mutans)が確認された。
歩行困難を呈した重症の2羽を隔離し、イベルメクチン(1mg/kg)を8日間隔で2回筋肉内注射し、治療を試みた。その結果、投与後8日目頃より病変部の痂皮は剥離し、20日目頃には皮膚の再生が認められた。
中程度の症状を呈した残り5羽については、農場内でイベルメクチン(0.5~0.8mg/kg)を13日間隔で2回投与した。その結果、投与後13日から28日頃までに症状の改善が認められ、体重は平均で12.7%増加した。
以上の成績から、イベルメクチンは本症に効果があるものと考えられた。
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010641484.pdf
我が家の鶏は鶏脚疥癬症に罹ったことがないので、鶏にイベルメクチンを投与したことがありませんが、イベルメクチンは鶏脚疥癬症に効果があるようです。
鶏病研究会報によると歩行困難を呈した重症の2羽を隔離し、イベルメクチン(1mg/kg)を8日間隔で2回、中程度の症状を呈した残り5羽については、農場内でイベルメクチン(0.5~0.8mg/kg)を13日間隔で2回投与。投与後13日から28日頃までに症状の改善が認められ、体重は平均で12.7%増加したとのこと…
鶏に投薬する場合、イベルメクチン6mgの錠剤だと4等分にカットして粉末にしてハチミツ等に混ぜて鯉餌の配合飼料に絡めて投薬できそうですが、普段からオヤツとして鯉餌を与えて慣れさせておかないと難しいかもですね。投薬には工夫が必要なようです。
イベルメクチンの外用タイプ

イベルメクチンの外用タイプにアイボメック・ポアオン(イベルメクチン5%)という製品があります。アイボメックは豚用の寄生虫駆除剤ですが、小鳥や鶏の疥癬ダニやダニ、シラミ、体内寄生虫駆除に使用されています。
鶏の首の後ろの地肌にチャボ、小軍鶏クラスだとスポイトで1滴、大型鶏だと3~4滴を滴下するだけで簡単に駆虫できます。7~10日後に再滴下します。
標準的なスポイトでの1滴は0.05mlですので、因みにイベルメクチン5%ですと、体重2kgの鶏で2滴未満となります。我が家の大和軍鶏には1~2滴を滴下します。



イベルメクチン・ポアオンは250mlでの販売でしたので、スポイト付の遮光瓶や小さな容器に小分けすると使いやすいです。光や熱によって劣化しやすいとのことなので、アルミホイルを巻いています。