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輸血の副作用(reactions following transfusion) ~ 大別すると技術的な誤りと管理上の誤りがあります

輸血の副作用 出血・止血および輸血

 
 
輸血によって発現する不都合な生体反応を総称して輸血副反応、また小輸血副作用と呼びますが、その主体は抗原抗体反応です。
 
 
副作用の発生要因はかならずしも一様ではありませんが、大別すると技術的な誤りと管理上の誤りがあります。前者では血液型の判定および交差試験の誤りによる異型輸血、採血器具、輸血器具、皮膚などの消毒不十分、輸血速度、混入液、空気の流入などの輸血技術に属する誤り、過剰輸血や適応症の誤りなどがあります。
 
 
また後者では血液の取り違い、血液の管理不良、期限切れ血液の使用などの誤りです。以上の発生要因によっておこる副反応には、発熱反応、溶血反応、アレルギー反応、クエン酸中毒に見られる保存液による副反応、過剰輸血、空気塞栓、異物の流入などの器具ならびに輸血技術による副反応がある。
 
 
こられの副作用中注目すべきものを挙げると次の通りです。
 
 

溶血反応

 
 
不適合な血液の輸血や適合していても障害の程度の強い血液の場合は、血管内で赤血球が破壊されて溶血をおこし、血色素血症と血色素尿を生ずる。
 
 
これは輸血した赤血球抗原が血管内で患畜の血漿中の抗体と反応して生ずる血管内溶血で、通常は輸血直後に発生し、重篤な病状を呈する。
 
 
一般症状としては高カリウム血症、高アンモニウム血症、出血傾向、腎障害、ヘモグロビン症、ビリルビン尿、ヘモジデリン尿、肝及び脾の腫脹、黄疸、高ビリルビン血尿などであり、挙動不安、過度の流涎、失禁、乏尿、血圧降下、嘔気、嘔吐、側腹痛、チアノーゼ、呼吸困難、悪寒が出現し、麻酔中や手術中の患畜では異常出血と適切な体液の補充にもかかわらず持続性低血圧がみられる。
 
 
これらに対する簡単な臨床診断法としては血色素尿と乏尿が特徴的所見であるから、膀胱カテーテルを挿入しておいて、排尿量と色調とで判定する。
 
 
また血清ビリルビンの増加は本反応の特徴です。これに対する処置としてはただちに輸血を中止し、抗凝固剤、副腎皮質ホルモン、血漿の置換ないしは交換輸血、輸液、抗ヒスタミン剤、抗プラスミン剤、腹膜灌流、止血剤、強心剤、適合血液の輸血などが対症的に行われる。
 
 

発熱反応

 
 
発熱反応の原因は多々あり、血液の不適合、あるいは血液保存中の変性、汚染などによって、発熱物質やアレルゲンのような非特異的物質を生じ、これらの作用によって、副作用が現れる。
 
 
また抗白血球性や抗血小板性の細胞障害性抗体による免疫反応によることも考えられる。発熱物質による熱発は輸血の際にもっとも一般的にみられる副反応で、この物質の主体はエンドトキシンです。
 
 
発熱物質による反応はショックの症状によく似て、悪寒、発熱、悪心、戦慄その他の症状が現れるが、一時的な反応にとどまることが多い。
 
 
治療法としてはアミノピリンやアスピリンなどの解熱剤は予防と治療の効果があり、一方抗ヒスタミン剤は無効です。
 
 

アレルギー反応

 
 
輸注された血漿中の蛋白質が抗原となって受血動物血漿中の抗体と反応をおこし、蕁麻疹、浮腫、発熱を呈する。
 
 
治療は一般のアレルギー性疾患と同じで、症状に応じて抗ヒスタミン剤、エピネフリン、コルチコステロイドが用いられる。
 
 

保存液による副反応(クエン酸中毒)

 
 
大量輸血時に発現する環境機能低下と出血傾向は、従来はクエン酸による低カルシウム血症に基因するとされていましたが、最近これらの症状の成因として、保存血を低温のままで使用するために低体温となる結果、異常が現れるのではないかといわれている。
 
 
若齢動物や著しい肝障害を有する患畜で血液凝固系に異常が認められなければ、クエン酸過剰状態になることは稀です。またクエン酸中毒に対するカルシウム投与による治療は、心臓の被刺激性を高めるため、好ましくないとされている。
 
 

過剰輸血

 
 
血原性ショックにおいて急速輸血を必要とする際に、受血動物が若齢、老齢もしくは心疾患を有するとき、輸血速度が速かったり必要以上の血液量が輸注されると、一過性の心不全や肺水腫が発生する。循環過剰の症状は、呼吸困難、咳嗽、チアノーゼとして現れ、昏睡状態に陥ることもある。処置としては早急に気道の確保、人工呼吸、酸素吸入、強心剤投与を行うと共に、瀉血を実施する。
 
 

器具ならびに輸血技術による副反応(空気塞栓、異物流入)

 
 
空気塞栓の実験によれば、最小致死量は平均7.5ml/kgであるとされるが、これ以下の小量でも危険な徴候を示したり、死に至ることもある。
 
 
静脈系空気塞栓の症状は、静脈圧の上昇、チアノーゼ、前胸部における水車様雑音が聴取され、血圧低下、頻脈、失神などをきたす。この際の死亡は一時性呼吸不全によるものです。
 
 
動脈系空気塞栓の場合には、失神、痙攣などの症状を呈する。治療は、患畜を左側臥位にし下肢を挙上し、頭部を下げるようにする。
 
 
異物の流入の際もおおむね同様の症状を呈する。
 
 

異型輸血時にみられる副作用

 
 

●輸血中

無気力感
脱力感
眼球振盪
流涎
鼻汁
瞬膜露出
眼瞼、上唇などの腫脹
徐脈など

 
 

●輸血後

無気力感
脱力感
発熱
血様下痢
全身性痙攣
血色素血症
血色素尿症
黄疸、嘔吐など

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