胃拡張・胃捻転症候群(gastric dilatation-torsion(volvulus)syndrome)
胃の膨満を特徴とし、処置が遅れると生命にかかわる重大な急性疾患です。胃の単純な拡張を示すものと捻転を伴うものとの2型があり、後者は主に胸の深い大型犬に多発する。
原因:多量の食物をがつがつ食べる習慣、その際の呑気、あるいは胃内での食滞などから生ずる胃拡張から捻転に至る一連の症候群とする意見が多い。
しかし、単一の原因は明らかでなく、多くの原因で起こる疾患の末期症状とする見解もある。捻転の方向は、後方からみて大部分が時計方向であり、180度を超え(volvulusと呼ぶ)270度に達する例もある。
症状:食後数時間、特に運動後に発症する例が多く、特徴的症状は不安、大量の流涎、吐き気(嘔吐はできない)、急激な腹部膨満などであり、急速に衰弱し、最終的にはショック、胃破裂、敗血症などにより死の転帰をたどる。
これは胃の膨満・捻転に伴い水分・電解質の喪失、アシドーシス、時にはアルカローシスがみられるほか、腹部臓器の循環障害、心拍出量・静脈還流・血圧の低下、不整脈およびショック肺などが発現するためです。
胃内には大量の液体とガスが蓄積し、胃壁は壊死に陥る。
治療法:直ちにショックの治療を実施し、迅速な大量輸液と糖質コルチコイドの投与、ならびに酸塩基平衡の改善を行う。これに並行あるいは引き続いて胃内の減圧を図るが、胃カテーテルの挿入が困難であれば、胃穿刺または胃瘻設置を行う。
次いで開腹手術を実施し、捻転の整復、胃壁と腹壁の固定(胃瘻設置を含む)、さらに必要に応じて胃壁壊死部分の切除、幽門形成、脾臓摘出などを行う。
手術直後の再発率は比較的高いので、予後については慎重に判断します。

