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第一胃および第二胃の疾患 ~ 創傷性第二胃腹膜炎

第一胃および第二胃の疾患 ~ 創傷性第二胃腹膜炎 胃の疾患

 
 

創傷性第二胃腹膜炎(traumatic reticuloperitonitis)

 
 
原因と発生:牛は金属性の異物(釘、針金、針など)を餌とともに嚥下する機会が非常に多い。これらの異物は主として第二胃内に集まるが、必ずしもそれらが胃壁を穿刺して、創傷性第二胃腹膜炎などを惹起するとはかぎらない。
 
 
屠殺牛の55~75%の第二胃内に、明らかに、少しも胃壁に損傷を与えていない金属性異物が発見されたという報告があり、尖端が鋭利でない胃内異物は無害のままで経過するものの方がむしろ多いと考えられる。
 
 
異物の胃壁穿孔をおこさせる要因については不明の点が多い。しかし乾草の梱包に針金のかわりに紐を使い、また牧柵に針金のかわりに電気柵を用いると、発生率は明らかに低下する。
 
 
また妊娠末期、ことに分娩時には胃が全体として前方に移動し、かつ激しい努責がおこり、これらの時期に症状が現れ、あるいは悪化することは周知の事実です。
 
 
本症の年齢との関連は一定しないが、ふつうは2齢以上の牛に発生する。
 
 
異物が単に第二胃内に浮遊している状態であっても、鋭利なものは、胃粘膜を刺激して多少の差はあれ、第二胃炎を発症させると考えられる(創傷性第二胃炎traumatic reticulitis)。
 
 
また第二胃粘膜のみに穿刺している場合もあり、また、単に粘膜ヒダにつき刺さっていることも少なくない。
 
 
異物による創傷の好発部位は、第二胃の前・腹側の胃壁、それも特に右半分です。
 
 
しかしごくまれには、異物が後側(特に種雄牛)または背側(木片、剛毛)あるいは左側の胃壁に刺さることもあります。
 
 
異物が第二胃壁を穿通すれば、急性限局性第二胃腹膜炎が発生するが、その大多数は第二胃横隔膜炎reticulodiaphragmatitisで、その結果、第二胃と横隔膜が癒着し、その内部に膿瘍、瘻管の形成が見られる。
 
 
しかし、なかには次のような経過をたどることもあります。
 
 
イ)いったん穿刺した異物が胃内に落下して治癒することがある。
 
 
ロ)慢性限局性腹膜炎に移行する。これはさらに(1)治癒する、(2)迷走神経性消化不良を後遺する、(3)横隔膜破裂の原因になる。
 
 
ハ)急性び慢性腹膜炎を継発する(たとえば分娩時の陣痛あるいは運動の強制により)。
 
 
二)異物が深く前方に進入して、急性心膜炎が発生し死の転帰をとる。ただし、横隔膜に穿通した異物がすべて心膜炎をおこさせるとはいえない。
 
 
釘のように尾端が穿通しにくい異物、あるいは第二胃横隔膜間が硬く肥厚した場合は穿孔しにくい。
 
 
ホ)まれには穿通した異物が肝臓・脾臓・胸膜・肺臓・縦隔膜に移動して、急性限局性腹膜炎とともに、それらの臓器組織に炎症、膿瘍形成をきたす。
 
 
症状:創傷性第二胃腹膜炎の症状は、第二胃炎と腹膜炎の症状に分けられます。

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