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指(趾)骨の骨折(fractures of the phalanges) ~ 大動物・小動物

指(趾)骨の骨折 骨折

 
 

大動物

 
 

基節骨(繋骨)の骨折

主に馬におこるもので、牛では非常に稀です。
 
骨折線が関節面に達すること(関節骨折)が多い。開放(複雑)骨折が生じることも少なくありません。細片骨折、Y字形骨折または縦骨折を呈することがしばしばです。
 
後者はことに競走馬、競技用の乗馬の前肢にみられるもので、中手骨遠位端にある縦稜が楔になって割れることによる。重度の支跛が突発する。
 
軋轢音を発し、また関節まで冒された時は骨片の異常な動きがわかります。しかし、局所が著しく腫脹して、触診が困難なことがあります。X線検査が必要です。
 
全身麻酔のもとに横臥させ、肢端を強く牽引して整復し、足根骨または手根骨の直下までギプス包帯をほどこして固定します。
 
治癒に10~12週間を要するので、この間2~3回ギプス包帯を更新する必要があります。
 
手術による内固定はあまり結果が良くありませんが、縦骨折では、圧着ネジによる固定も行われます。
 
新しい骨の増殖が著明で、ことに関節骨折では、関節強直を招いて跛行が永続します。冠関節の硬化は、後肢ではあまり支障がなく、雌馬ならば繁殖に供用できる。
 
しかし球節が硬化した場合には、予後不良です。
 
競走馬の疾走中に基節骨近位端の背側に小さい裂離骨折が生じたものは、骨片を摘出すれば予後が良好です。
 
牛では縦骨折、横骨折、細片骨折、あるいは粉砕骨折が生じることがあります。重度の支跛と局所の著しい腫脹が発生します。
 
8~10日間冷却し、副子またはギプス包帯をほどこします。
 
単純な骨折では、患側の蹄を削蹄し、一方、対側の健指(趾)の蹄底に厚い蹄鉄または木片を装着して患指(趾)を免重させる。
 
関節が冒されていなければ、4~6週間で治癒します。
 
粉砕骨折または複雑骨折の保存的治療法では、治癒に時間がかかり、また骨壊死のおこる可能性が大きいので、球節の高さで、断趾術を行うことがあります。

 
 

中節骨(冠骨)の骨折

牛ではきわめて稀れで、主に馬の後肢に発生します。
 
馬が走る場合の急激なスタート、停止あるいは旋回の際に、捻転を伴った強い圧迫が加わることに起因します。
 
ふつう粉砕骨折になり、冠骨折、蹄冠節または両者の損傷が合併します。軟部組織の損傷は少ない。開放骨折になることは少ない。X線検査が必要です。
 
治療法としては、ギプス包帯による固定が最善です。その施行法および治療後の経過は、基節骨骨折の場合と同様です。
 
治癒が遅く、また多量の骨の新生がおこります。関節が冒されている時は、あとに関節の硬化がのこるが、雌馬では繁殖に供用可能です。
 
関節が冒されていない場合は、一般に予後は良好です。
 
牛の中節骨の非開放性骨折は、ギプス包帯で固定するとともに、基節骨骨折の場合と同様に患側の趾(指)の免重をはかる。
 
また複雑骨折の場合には、基節骨の高さで断趾術を行います。

 
 

末節骨(蹄骨)の骨折

末節骨は主に海綿質からなり構造が粗鬆なため、馬にも牛にも骨折の発生が少なくない。馬では競走馬のレース中の激しい蹄の振盪、また競技用の馬では、趾端の捻転を伴う振盪に起因します。異物の穿刺によることもあります。
 
蹄骨の周縁のどこにも発生します。後肢より前肢の蹄骨におおい。
 
蹄の増温、蹄匣(蹄鞘)の圧痛、打診痛、強い指動脈拍動、繋の腫脹、蹄跛行(重度の支跛)の突発が認められ、患蹄はほとんど接地しない。X線検査を行う。
 
治癒が遅く、6~12ヶ月の安静を必要とします。蹄匣は良い副子の役割を演じています。しかし馬が動くと、深屈腱に引っ張られて骨片が動く。
 
側鉄唇のついた連尾蹄鉄を4~6ヶ月間装着し、その間は使役に供しない。初期に球節以下蹄全体にギプス包帯をほどこすこともあります。
 
骨折線が関節に達している場合には、圧着ネジで固定することがあります。
 
競走馬の蹄骨掌突起の骨折では、調教を継続するために、尾側の指(趾)神経に神経切除術をほどこすことがある。穿通創に起因するものでは、蹄底から骨片を摘出します。
 
伸筋突起の骨折でも骨片摘出がおこなわれます。
 
予後は、発生個所と治療に対する反応によって異なります。関節骨折では、時に予後不良なことがある。掌突起の骨折は、予後がやや良好です。再骨折をおこすことがあります。
 
牛では、前肢にも後肢にも発生しますが、前肢内蹄にもっとも多い。蹄底から関節面に向かう横骨折がふつうです。
 
放牧中の外傷、発情牛の駕乗、輸送、異物の穿刺に基因します。蹄底の凹んだ過長蹄に生じやすい。フッ素沈着による骨粗鬆症は誘因になります。重度の支跛が突発します。食欲と泌乳量が減少する。
 
放牧地で発生した時には、牛がたいがい倒れている。
 
起立をいやがり、前肢の蹄に発生した場合には、手関節で接地したままで起立しようとしない。起立位では、患肢を少し持ち上げてピクピク動かし、かろうじて蹄尖を地につけている。
 
患趾の免重のため、内蹄の蹄骨骨折の場合には、患肢を内転させて健肢の前に出し、両前肢内蹄に併発した場合には、肢を交叉させます。
 
外蹄の場合には、患肢を外転させる。また前肢に蹄骨骨折があれば、後肢を腹下に踏み込み、後肢に発生した時はことに歩行を嫌がります。
 
視診では、蹄冠部の腫脹がなく、せいぜい潮紅を呈する程度であるが、触診で蹄壁の増温、肢端の動脈の強い拍動がわかる。
 
また検蹄器による圧迫と打診に対して疼痛を訴えるが、しばしば蹄底の後1/3が著しく過敏です。球節以下の受動運動(屈伸、回転)に対して明瞭な疼痛反応があります。
 
蹄底を削切すると、挫跖に似た角質の変色(赤褐色)が認められます。
 
趾間裂にフィルムを挿入して撮影したX線写真で、蹄底から関節面に達する骨折線が明瞭に認められます。しかし、骨亀裂の場合は判別困難なことがあります。
 
急性蹄葉炎、化膿性蹄葉炎、蹄底の穿通創、急性趾間腐爛、蹄壁の縦折、冠関節または蹄関節の捻挫との鑑別診断が必要です。
 
牛の場合にも、蹄骨骨折の治癒に要する期間は長い。ただし、臨床徴候は4~6週間で消えます。線維性仮骨によって骨片が癒合し、6ヶ月後には、骨折線が消失しますが、完治には18ヶ月くらいかかります。
 
顕著な骨増殖と関節強直が後にのこることは少ない。
 
牛の蹄骨骨折のもっとも実際的な治療法は、患蹄を削蹄し、一方、同じ肢の健蹄の蹄底に厚い蹄鉄または木片を釘または合成樹脂を使って装着して、少なくとも6週間、できれば8~10週間、患蹄の免重をはかることです。
 
また、その間は鋸屑を厚く敷いた平坦な牛房に収容し、ミネラルとビタミンDに富んだ飼料を与えます。蹄底の穿通創に基因するものでは、小骨片を摘出します。
 
しかし、開放性の蹄骨骨折の大多数では、断趾術が必要になりますが、種雄牛の後肢に生じた場合をのぞいて、予後はおおむね良好です。

 
 

近位種子骨(舠骨)の骨折

馬に発生する損傷で、比較的稀です。
 
慢性舠嚢炎のため粗鬆になった舠骨には、蹄の激しい振盪によって発生し、また掌神経切除術のあと、運動の際に馬が手術前と同様に肢を力強く踏み出した瞬間に突発することがあります。
 
症状は舠嚢炎の場合に似るが、進行性に悪化します。
 
蹄の負重が困難になり、蹄球間溝の肥厚を見ることがあります。X線検査の際、蹄を水中において撮影すると、骨折線と蹄叉側溝または蹄叉中溝との識別が容易になります。
 
舠嚢炎に継発した舠骨の骨折は治療の対象にならない。外傷性に発生したものでも、唯一の処置は切神術によって疼痛をのぞくことです。
 
予後は不良ですが、神経切除術をほどこしたあとで、かぎられた用途に供用できる例があります。

 
 

小動物

 
 
犬と猫の指(趾)骨の骨折のうち、1~2本の指(趾)骨に生じた骨折は、非開放性に整復して、接合副子またはギプス包帯で固定します。
 
 
3本以上の指(趾)骨の多発骨折は、開放性に整復し、Kirschnerワイヤーによる内固定をほどこします。早期の負重を避ける必要があります。
 
 
骨片の癒合欠如ないし、慢性化膿性骨髄炎が生じた時には、患指(趾)の切断を必要とすることがあります。

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