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燐 Phosphorus P ~ 症状

燐 Phosphorus P ~ 症状 家畜中毒

 
 

燐中毒の症状

 
 
燐中毒の症状は燐の形状、量、動物の種類ならびに胃内容の充実あるいは空虚などによって異なります。
 
 
馬は屢々中毒後特異の変状なく経過し、家禽もまた著しい症状を示さず斃れますが、犬と豚は、著明な局所変状と一般症状を現わします。
 
 
重要なものは新陳代謝の変化で血液および組織に吸収された燐は、生体の酸化作用を抑制し酸素の消費、炭酸の生成が減少し、蛋白質は異常分解を起し尿の窒素量が高まり、他面には多量の脂肪が各種臓器に沈着して来ます。
 
 

局所症状

 
 
消化量および呼吸器の刺戟あるいは腐蝕の変状で、そのため食欲減退、ニンニク臭の噯気、嘔吐があり吐物は暗所で光を放ち且つ燐臭を伴う。
 
 
次で吐血、不安、疝痛、呻吟、下痢を来す。もし口腔および咽頭粘膜を侵せば流涎、舌腫、嚥下困難などを見る。
 
 
燐蒸気を吸入すれば咳嗽、窒息症状、呼吸困難、肺水腫があり、牛では咳嗽のために生じた肺胞間気腫の結果として頸部および胸部に皮下気腫を認めます。
 
 

一般症状

 
 
燐が血中に入って後現れるものです。前述のように燐は元来水に不溶性ですが、腸内容の脂肪特に胆汁によって可溶性となります。
 
 
燐は主として筋および腺質の毒で肝、腎、心筋および体の諸筋脈管ならびに組織の脂肪変性を来し、それ自身は燐酸に変化します。
 
 
したがって体諸筋の脂肪変性により脱力、衰弱し、心筋変質のため機能が衰え遂に心臓の麻痺を来し、肝細胞の脂肪変性により肝の腫大、胆汁の鬱滞、黄疸などを現わすことは特異の症状ですが、毎常必ず発現するとは限りません。
 
 
腎障害により蛋白尿および無尿等を見、脈管筋組織は破れやすくなり、従って粘膜、皮膚に血斑、出血を生じます。
 
 
豚は屢々精神の興奮を認めることがあり、家禽は特異な飛躍運動を示し、乳牛は乳腺の障害によつて乳汁の分泌障害を来し、甚しくなると全く泌乳の止まる場合があります。
 
 
燐中毒の経過は家畜では常に速かですが、草食動物では吸収が徐々であるから数時間乃至数日の後に始めて中毒症状を現わすことがあり、犬も短い場合は10~15時間ですが、多くは摂食後第2~3日、時に4~5日に斃れます。
 
 
時によって心臓麻痺のため一般症状をきさぬ前に突然痙攣を発し、斃死し例外では3~5時間で治療の暇なく死します。
 
 
なお徐々に吸収された燐が全身に分布して、その作用を現わすまでには相当時間を要し、臨床上一般に2~3日、軽快の後再び悪化することが多いから、予後の判定には充分注意しなければなりません。
 
 

 

捕鼠用として2gの燐舐剤を食した馬は3.5時間の後疝痛、流涎、眼旋転、搐搦を起し、発病後3時間で斃死しました。

 
 

 

16頭の仔豚が罹病し同時に燐中毒を受け、衰弱、苦悶し、内10頭は起立不能となり、規則正しい間歇を以て下顎の搐搦を示し、残りの6頭は舎内を這い廻り、これに触れると叫鳴する。
 
 
第2日に1頭、第3日目に6頭、第10~12日目に9頭と総て斃死しました。剖見上胃粘膜に1銭銅貨大で暗褐色の部分があり、これは乾き且つ固い痂皮を被る。

 
 

緬羊

 

羊群を牧場に放牧し燐舐剤の駆鼠薬を撒布してあつたため中毒し35頭は第2~5日で斃れた。

 
 

 

(a)犬に0.03~0.09gの燐を第2~5日間に与え斃れ、その主徴は倦怠、衰弱、食欲欠損、不安、眩暈あり、1~2例に嘔吐がありました。
 
 
(b)体重10kgの犬に午前11時に0.1の燐を50.0ccの肝油に溶解して内服させ、2時間で歩行が蹌踉となり、時々粘液を吐出しましたが、夕飼はよく喰い尽くした。
 
 
この時の脈搏は少し疾速し且つ弱かった。翌朝の食欲はよかつたが、次第に衰弱し呼吸困難、心臓弱く、脈は感じ難く、粘膜貧血し、汚紫色を呈した。
 
 
正午頃歩行蹌踉となり精神錯乱し、脈搏72より50に減じ、体温は38°より37.5℃に降り、呼吸困難は更に著しく、起立不能となり烈しい嘔吐を伴い呻吟し、周囲を顧み中毒の初めより28時間で狂暴性となり、次で30分の後痙攣で斃れた。
 
 
剖見は出血性胃腸炎、腎炎、肝実質炎、肺水腫、散在性肝黄疸、鏡検上肝および腎細胞の脂肪変性と心筋および随意筋の内容溷濁を認めた。

 
 

家禽

 

鶏およびアヒルは7.5mgの燐を与えたところ歩行蹌踉があつたのみで、他の症状なく斃死した。

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