薬理作用
砒素は三価あるいは五価で結合する窒素、燐および類似の性質を有する蒼鉛、アンチモン等と共に窒素簇元素に属し砒素化合物中、生体に対し強力なものは亜砒酸、砒酸およびその塩類で特異作用は酸素化合物のアニオンであつて、亜砒酸ではAsO₃”’、砒酸ではAsO₄”’です。
五価化合物AsO₄”’は体内で三価化合物に還元されて作用を呈するものと考えられています。
また砒素の有機化合物はそのままでは作用せず、体内で変化して亜砒酸およびその誘導体となって作用します。
局所作用
主として亜砒酸が作用し局所の炎症乃至壊死を来す。
ただし健全な組織では微弱ですが、病的組織には急速強烈です。
吸収作用
砒素は極めて微量ですが、生理的に生体の組織に存在します。
而して極少量の持続は物質代謝に変調を来し、殊に同化作用を促進するから動物では皮下脂肪を増し、骨格の形成を促し毛の光沢良好となり外見上肥満したように見え、馬に屢々与うることがあります。
吸収された亜砒酸は腎、肝、腸、皮膚および乳腺より徐々に排泄され、大部は体内に永く残留します。
したがって唯1回の服用によつても慢性中毒に陥ることがあります。
砒素はまた好んで皮膚に集まり病的組織を破壊し、健康組織の発生を促すため慢性湿疹、鱗屑疹などの皮膚病に用います。
砒素剤中サルバルサンの類は寄生性原虫を殺す作用を利用したもので、これは原虫体に対し選択親和Althotropの性質を有し、虫体に固着した成分が漸次亜砒酸の誘導体に変ずるからです。
