近位指節間関節(冠関節)の脱臼(dislocation of the proximal interphalangeal joint(pastern joint)
大動物では冠関節の完全脱臼はごく稀れにしかみられない。
車に轢かれる、深い溝や穴に肢をつっこむなどの大事故が原因となります。基節骨か中節骨または両者の開放骨折と合併するのがふつうで、不治です。
不全脱臼の発生はやや多く、基節骨の遠位端が中節骨の近位関節面から若干転位して前方(背方)へ突き出るもので、原因からみて一次性と二次性に区別されます。
一次性は外傷によって関節包の背側部分と関連の靱帯が裂けて起こる不全脱臼であり、二次性は、舠骨(遠位種子骨)を固定する遠位種子骨靭帯群の損傷のあとの瘢痕収縮による転位と考えられています。
一次性も二次性も予後は疑わしい。一次性不全脱臼に対してはふつう治療をおこないません。二次性不全脱臼に対しては、冠関節の捻挫の場合と同様、温罨法、誘導刺激療法、点状焼烙などの処置を施し、長期の放牧によって休養させます。
なお装蹄する場合には鉄尾を短切します。
小動物でも本症の発生は多くはありませんが、完全脱臼も起り、患部の腫脹、変形、疼痛および捻髪感が明らかです。
歩行時には跛行が著しいですが、駐立時には患肢にもいくらか負重します。
手指で圧迫して整復し、あとはふつう接合副子による固定を、少なくとも2週間施すことによって治癒します。予後は良好です。
遠位指節間関節(蹄関節)の脱臼(dislocation of the distal interphalangeal joint(coffin joint)
大動物では、蹄関節の完全脱臼は、同時に蹄匣の一部が壊れるくらいの激しい外力が加った時にのみ起こるもので、めったに見ることはありません。
これに対して不全脱臼は、舠嚢炎のために神経切除術をうけた馬では時々発生します。深屈腱と舠骨が蹄骨から引き離され、しかも多くは舠骨々折が合併します。
蹄踵先着、蹄尖の上反、蹄球間溝と繋凹部の腫脹(長期化すると蹄冠も)が認められ、屈腱の断裂を疑わせる。
牛と豚では、化膿性足関節炎のあと、関節包の一部や関節の靱帯が破壊されると、本症の発生は稀れではありません。
馬では予後不良ですが、関節固定術を実施することがあります。牛、山羊、羊、豚では断趾術を施します。
小動物では、近位指節間関節の脱臼に関する前記事の記述があてはまります。

