後肢の中足骨以下と前肢の中手骨以下の骨の骨折は、原因、診断、治療など、いずれもほぼ同様ですのであわせて記述することにします。
大動物
大動物では非常にしばしば発生します。
牛では、中足骨の骨折が骨折の17.5%、中手骨の骨折が12.5%を占め、四肢の骨折の中でもっとも多い。牛では斜骨折または多発骨折がおこりやすく、断面の平滑な横骨折は少ない。
開放(複雑)骨折になることもあります。また子牛には遠位骨端線の骨折分離がおこる。
競走馬では、縦骨折あるいは遠位端に斜骨折が発生し、いずれも骨折線が遠位関節(球節)の関節面に達することが少なくない。馬の第Ⅱまたは第Ⅳ中足(手)骨の骨折は、第Ⅲ中足(手)骨の骨折に合併することが多い。
強い外力、滑走、蹉跌(つまづき)、また子牛では分娩時の強い牽引が原因になります。母畜に踏まれておこることもあります。
肢の変形、肢軸のねじれ、重度の跛行が発現します。
外固定による治癒率が高い。手関節または足関節のなるべく上方から肢端まで、ギプス包帯をかける。急速重合性の合成樹脂を適用することがあります。
しかし、特に成畜の斜骨折、螺旋骨折では、骨片のずれが避けられないので、Steinmannピンや骨ネジによる固定を併用する必要がありますが、感染がおこることが多い。
骨プレートによる固定が可能な例もあります。
横骨折は治癒が遅いので、2方向から骨プレートをあてるdouble compression platingの手術も行われる。
複雑骨折では、重度の感染のため、化膿性骨髄炎を継発することが多い。辺縁切除と局所の化学療法を徹底的に行い、外固定をほどこす。
牛では手関節または足関節より遠位、あるいは手根中手関節の高さで断脚手術を行って、良い結果を得た例があります。単純骨折の予後は良好です。
中足骨より中手骨のほうが予後が良い。
斜骨折は6週間、横骨折は10週間で治癒します。複雑骨折、粉砕骨折の予後は楽観できない。化膿性骨髄炎の継発は、牛より馬に多い。
子牛の中足(手)骨の近位骨端板は、胎生期にすでに閉鎖しているが、遠位骨端板の閉鎖時期は生後24~30ヶ月であるため、特に成長の速い若い肥育牛などでは、時に弱い外力の作用でも、骨端線の骨折分離がおこることがあります。
分離した骨端は転位することが多い。
疼痛、腫脹、球節の変形と異常運動、肢軸の変化、捻髪音、支跛が現れます。皮膚に開放創が生ずることもあります。中足(手)骨の骨折または球節の脱臼と誤診することもあります。
非開放性のものは、全身麻酔下に整復し、ギプス包帯を肢端から足(手)関節の下までかける。4~6週間でなおります。
開放性の場合は感染がおこりやすいため、予後不良です。
小動物
犬、猫の1~2本の中足(手)骨に骨折が生じた場合には、非開放性に整復し、接合副子またはギプス包帯を装着します。
3本以上の骨に同時に発生した場合には、開放性に整復し、細いピンを用いて内固定を行います。癒合欠如の場合にも同様です。
Thomas副子によって早期の負重を避ける。なお、骨折癒合欠如または慢性化膿性骨髄炎の例の中には、断趾術を必要とするものがあるかもしれません。

