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ロ(驢)Ass

アフリカ野生ロ ウマ(馬)

ヌビアロ(Nubian wild ass)
 
 
俗にロバといわれるもので、動物分類学上、馬、シマウマとともに馬属を形成している。ロには家畜化された家ロと、野生のものとあります。
 
 
野生のものには、アフリカ野生ロとアジア野生ロとがあります。アフリカ野生ロは、アフリカの北東部から南部にかけて棲む。
 
 
体は大型の犬ぐらいから、もう少し大きなものもあります。強力ですが、性質は小心です。ダーウイン(C.DARWIN)はこれを家ロの唯一の祖先としました。
 
 
しかしこれに2種あって、1つは毛色は帯赤灰白色で、口辺、下腹、四肢の内側の薄く、肩の十字紋と背の鰻線が鮮やかで、肢に条線のないヌビアロ(Nubian wild ass)です。
 
 
他は毛色が鼠色がかった灰白色で、口辺、下腹、四肢の内側が白く、頭が暗灰色で、鰻線はわずかに臀部にだけあり、肩紋も肢の条線もないソマリーロ(Somali ass)です。
 
 
アジア野生ロは、半ロ(Halbesel)またはオナーガ(Onager)ともいわれ、シリア、アラビア、イラン、インド、チベット、蒙古などに棲んでいます。
 
 
体は大体馬とロとの中間です。半ロといわれる所以はここにあります。シリアの半ロは、体高100cm、頭は比較的大きく、耳はふつうのロより短い。
 
 
被毛は銀色の光沢ある絹糸様を呈します。毛色は白色、帯黄白色、帯赤黄色です。アジア野生ロをオナーガー、キャング(Kiang)、シリア野生ロ(Silian ass)と3つに区別する学者もいます。
 
 
ダーウイン(DARWIN)はアフリカ野生のヌビアロを家ロの祖先としましたが、ケラー(KELLER)はアジア野生ロを家ロの原種としています。
 
 
もっともこれに対しても異論があり、アントニウス(ANTONIUS)はソマリーロが西北アフリカで家畜化され、東漸したとしています。
 
 
現在では家ロはアフリカ野生ロの家畜化されたものとされていますが、それ以後において他種の影響が種々あったようです。
 
 
いずれにしても、家畜化は遊牧放浪の民族であるハム族(Ham)か、またはそれに関係ある種族によって、B.C.4,000年ごろアラビアを中心とする西アジアで、輓用を目的として行われたらしい。
 
 
インド、ペルシャ、アラビア地方でもこれを家畜化し、これらのアジアロが小アジアをへて、ギリシャ、エジプトに移り、地中海沿岸に拡がったとされています。
 
 
最初は輓用でしたが、駄用にも乳用にもなり、1部は肉用にもなりました。
 
 
またオメーガー系のものがソマリーロと交配されて、速力を増して貴人の乗用にもなったといわれています。しかしロが中部ヨーロッパに輸入されたのは、それからかなり後で、主としてローマ人により広められた。
 
 
現在のロの改良に、もっとも力を入れたのはフランスで、そのポアトーロは有名です。
 
 

ロ(驢)の外観

 
 
毛色は灰白色が多いが、赤色、褐色などもあります。背に濃い鰻線があり、また肩に明らかな斑紋(十字紋)があります。体型も良く体力もあり、また性、怜悧な貴種と体格がやせ形で、頭、耳が大きく、性、愚鈍な庯種とに大別されます。
 
 
また体格にも大型と小型があります。ポアトーロは大型の方ですが、その体高は140~150cm、体重350~400kgです。ロと馬の外形上、とくに著しく異なる点をあげれば、次のようになります。
 
 
(a)ロには馬の持つような額毛がなく、尾毛は馬と違って下半のみ長毛で、上半部には短毛が混じ、牛の尾のようです。(b)ロの耳は馬のものより長い。(c)馬には四肢に附蟬がありますが、ロは前肢のみにこれがあります。
 
 
(d)ロは肩部、背線、四肢などに、いろいろな形態の条紋や鰻線を表す。(e)ロはどの毛色の場合でも、眼周囲、口辺、下腹部、四肢の内面は白い。
 
 

能力

 
 
輓用、駄用の役畜として、いまでも重要なものです。体質強健で、外界の感作に対する抵抗力が大で、不良条件下で、よくその能力を発揮します。
 
 
牛馬のように多量の水を必要としない。ロは馬より早熟です。フランスのポアトーロは満3才半で、完全に発育を停止します。ロの妊娠期間は平均364日で、馬より約30日長い。
 
 

分布

 
 
ロの最も多いのはアジア地帯です。とくに中共、インド、イラン、トルコに多い。つづいてアフリカ、南アメリカにも多い。ヨーロッパではフランス南部、イタリア、スペイン、ポルトガル、ギリシャ、ロシアに分布し、北アメリカではメキシコに多い。
 
 
アメリカ合衆国には開国当時から輸入されましたが、現在はラ(Mule)が大部分を占めています。本邦にも斉明天皇(655~661)のときに百済からラクダとともに献上されたという史実があります。
 
 
現在、本邦農村にロはいない。

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