
本邦では単にトロッターといいます。原産地は北アメリカの東海岸諸州、ことにニューヨーク州、ケンタッキー州、バージニア州を中心とします。また西海岸のカリフォルニア州も有名な産地です。
アメリカで作出されたものの唯一の品種で、Ame-rican standardbred(本位トロッターと訳す)ともいう。分類上は半血種、中間種、速歩競走馬に属します。
原産地は気候良く、空気も乾燥し、風土もまた産馬に適し、良草の豊かな土地です。
ここでは古くから馬産が盛んであり18世紀の中頃までは側対歩馬(Pacer)が主として生産されていましたが、その頃から道路が改修され、馬車の利用が盛んになり、速歩馬の生産が盛んになりました。
またそのころからサラブレッドその他が交配せられ、速歩能力が目標とされて改良され、18世紀の末には本種が成立しました。その後、競馬による能力テストと能力登録を伴う種畜の選抜とによって、改良が大いに推進されました。
この登録は、初めは1871年ジョン・H・ワレス(John H, Wallace)によって始められた個人登録に基をおいたものでしたが、1882年、American Trotting Register Associationができ、公的になって現在に至っている。
アメリカン・トロッターの外観
速歩の能力本位に改良された歴史をもっているので、反面、体格、体型、資質においては、いささか不揃いのものでしたが、この点近年大いに改められました。
ふつうのものは、体高、156~166cm、頭やや粗大、頸は細いが筋肉良く発達し、体軀は全般に細く、胸浅く長脚です。尻はき甲より幾分高く、傾斜し、筋肉はよく充実しています。
肩は短く、たち肩です。上腕骨は傾斜し、前肢は多くは後蹈肢勢を呈し、後肢に比しその構造は一般に軽小です。後肢の諸筋はよく発達し、飛節の角度はむしろ小です。
つなぎは、前肢において短く、後肢において長い。このような体型は速歩における速力をだすに好都合なものでしょう。
能力
能力を登録の基準に用いて、改良してきただけあって、速歩能力は急に進歩しました。
1810年では、1マイル(1哩)の速歩時間2分48秒1/2でしたが、1922年には1分56秒3/4に短縮されている。速歩競馬では好評です。
分布
アメリカ以外各地に分布している。本邦にも明治3年(1870)以来輸入され、東北地方、北海道の産馬改良に貢献しました。
その頃のものは良かったが、その後の輸入馬は体型上に欠陥もあり繁殖成績も振るわなかったので、一時輸入は途絶えました。
戦後、速歩競馬の復興に伴って、競走馬として、昭和28年(1953)以降多数輸入されました。
しかし、それらは北海道の十勝地方や岩手県で、競馬よりは寧ろ生産用に使われています。今でも、その数は多くはありませんが、これらの馬の系統のものが残っています。
すなわち、本種はわが国では競走馬生産用だけでなく、中間種の改良に貢献したものです。

