植物性毒素とは所謂毒蛋白Toxialbumin中の一で、その成分や作用の機転は不明ですが猛毒なものがあり、例えばリチンRicin(トウゴマ種子)、ロビンRobin(ニセアカシア)は本邦にも分布し家畜の中毒がおおい。
本毒素の特性は凡そ次のようです。
(1)何れも血液毒で毒性は極めて強烈です。
(2)血液に対しリチン、ロビンは強い凝集作用がある。
(3)何れも一種の抗毒素を生じ従って家畜に免疫性を附与せしめることが出来る。
(4)加熱により減毒する。
トウゴマ(ヒマ)蓖麻
トウゴマ(ヒマ)蓖麻 Ricinus communis(Castoroil plant)タカトウダイ科
リチンは種子の蛋白質におおく凡そ3%含有し油は峻下剤です。
アルカロイド、リチニンC₈H₈N₂O₂は幼芽に多い。従来中毒例のあるものは馬、牛、豚でヒマシ油粕は極めて危険です。
種子の致死量は下記表のように反芻獣は抵抗力が強い。
●馬
種子の致死量
●30~503
体重1kg当たり
●0.1g
●牛
種子の致死量
●350~450
体重1kg当たり
●2.0g
●犢
種子の致死量
●20
体重1kg当たり
●0.5g
●羊
種子の致死量
●30
体重1kg当たり
●1.25g
●山羊
種子の致死量
●100~140
体重1kg当たり
●5.5g
●豚
種子の致死量
●60
体重1kg当たり
●1.4g
●家兎
種子の致死量
●1.4
体重1kg当たり
●1.0g
●鶏
種子の致死量
●18
体重1kg当たり
●14.0g
症状
リチンは局所刺戟を有する他中枢を犯し呼吸、血管運動神経を麻痺します。
家畜における一般症状は食欲の減少、嘔吐、著しい胃腸炎のため出血性下痢、疝痛を認め衰弱甚だしく知覚消失、痙攣および昏睡、虚脱ならびに血圧の降下と無尿症を招きます。
馬における主徴は口唇の痙攣、頸頭の伸長、咳嗽、沈衰、体温上昇、要力性呼吸、心悸亢進、眼結膜の充血に次いでチアノーゼ、義膜性出血性胃腸炎、昏睡、赤血球の著しい増加と脂肪血症を来す。
療法
リチンは動物に免疫性を附与し血中に凝固を抑制するアンチリチンAntiricinを生じます。
治療は全く対症療法で初期に胃洗滌が出来ればタンニン酸液などは効果があります。その他塩類下剤ならびに粘滑剤の内用、強心剤、利尿剤の注射、瀉血とリンゲル液の静脈内注射です。

