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サルチル酸誘導体 ~ この系の代表的薬物はアスピリンで古くから下熱鎮痛薬として熱性疾病の治療に用いられる

アスピリン 炎症と抗炎症薬

 
 
この系の代表的薬物はアスピリンですが、下熱作用・鎮痛作用・抗炎症作用を併せ持っており、古くから下熱鎮痛薬として熱性疾病の治療に用いられてきました。
 
 

体内動態

 
 
非ステロイド系抗炎症薬は一般にカルボン酸かエノールであり、pKa 4.5以下の中程度の強さの酸が多いが、一部に弱酸もある。
 
 
いずれの化合物も有機溶媒によく溶けるが、水溶性が低いのでナトリウム塩で用いられることがおおい。
 
 

吸収・分布

 
 
一般に経口投与後の吸収は速やかであり、脳脊髄を含めて全ての組織への移行性がよい。しかし血清蛋白との結合率が高いので組織分布濃度は制約される。
 
 
サルチル酸誘導体は結合率が50%程度ですが、その他の類では結合率が80%以上の薬物が多く、一部には99%を越す薬物もある。
 
 

消失

 
 
体内消失は主として肝での代謝によります。代謝反応では抱合がもっとも重要であり、代謝物が尿中に排泄されます。消失速度の種差は大きい。
 
 
例えばサルチル酸ナトリウムを投与した後の血中半減期は、馬1時間、豚6時間、犬9時間、猫38時間です。この動物種差は多くの薬物で類似しており、草食動物では消失速度が速く、肉食動物では遅く、雑食動物ではその中間です。
 
 
特に猫や幼弱動物のように抱合能力の低い動物ではきわめて遅い。すなわち体内動態の面から判断すると草食動物では消失が速すぎて有用性に疑問があり、猫や幼若動物では消失が遅すぎて危険性が高い。
 
 

薬理作用

 
 
非ステロイド系抗炎症薬の薬理作用は相互に極めて類似するので、ここではアスピリンの作用を中心に記述します。
 
 

下熱作用

 
 
視床下部の体温調節中枢は体内の熱生産と熱放散を制御して体温を一定に調節するように働いている。この調節は主として熱放散の制御に依存している。
 
 
発熱の原因因子の多くは体温調節中枢に影響し、中枢が調節すべき温度水準を高め、その支配によって熱放散を減少させて体温を上昇させる。
 
 
アスピリンを投与すると間接的に体温調節中枢に作用し、発熱した個体での調節温度を生理的水準にまで下げるように働く。
 
 
このため発熱した個体ではアスピリンの投与によって皮膚血管の拡張や発汗が起こって熱放散が促進され、体温が生理的水準に近づく。
 
 
したがってアスピリンを発熱動物に投与しても正常体温以下になることはないし、正常動物に投与しても体温を降下させることもない。
 
 
この点ではクロルプロマジンなどの体温降下作用とは異なる。アスピリンは体内の熱生産が上昇したため起こった発熱にはほとんど有効性を発揮しない。
 
 

鎮痛作用

 
 
アスピリンを正常動物に投与して痛覚刺激に対する影響を調べても鎮痛作用を証明することは困難です。したがってその鎮痛作用に関する情報の殆どはヒトにおける使用経験に基づいています。
 
 
アスピリンは鋭痛や内臓痛にはあまり効果でなく、歯痛、筋肉痛、関節痛、頭痛、月経痛などに有効ですが、それらの部位が病的状態にあるために痛覚を感ずる場合に限られている。
 
 
家畜の炎症痛に対して用いた経験でもこれらのことが肯定されています。
 
 

抗炎症作用

 
 
炎症反応の進行を抑制しますが、主として血管透過性上昇の抑制作用と関連します。特にリウマチ性炎症に対しての有効性が高い。
 
 
アレルギー反応に対しても抑制的に作用します。
 
 

●抗内毒素血症

 
 
グラム陰性菌の感染に起因する内毒素血症(ショックなど)に治療効果を示す。
 
 

●血液凝固抑制

 
 
アスピリンの投与によって血液の凝固性が低下する。この低下はアスピリンが体内から消失した後も持続します。
 
 

副作用

 
 

●過量投与

胃粘膜やCTZを刺激して嘔吐させ、また凝固不全のために出血しやすくなる。アスピリンの急性中毒の重症例では呼吸興奮が著明で、このためにアルカローシスが併発するので危険です。

 
 

●反復投与

最も危険な副作用は胃腸潰瘍であり、犬猫では特に感受性が強い。
 
このため、連続投与中は常に血清蛋白濃度を測定し、もし低下したら投薬を中止する。

 
 

●臨床応用

サルチル酸とアスピリンNaが鎮痛、下熱、抗炎症、血栓症予防に用いられます。
 
急性炎症などでの短期投与では経験的用量を用いても良いが、筋炎、腱炎のような慢性疾患では慎重な投与計画を立てて投与することが必要です。

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