剖見
急性中毒では胃腸粘膜に色々な程度の炎症があり、且つ緑色乃至白色の被層のある腐蝕部を見、その部分にアンモニア液を滴下すれば深青色を呈します。
組織学的には仔羊で第四胃の粘膜および粘膜下織の著明な壊死と出血、浮腫および好中球の浸潤が認められ、主徴は第四胃の急性壊死です。
また糞尿中には銅が証明されます。内蔵中に銅の沈積するのは肝、腎、神経および筋です。
慢性中毒は出血性腎実質炎、肝の脂肪変性および黄疸、各筋繊維の溷濁特に心筋に著明です。内蔵の黄疸着色、急性または慢性の胃腸カタール、脾臓の腫瘍、肺水腫などです。
組織学的には仔牛で、著明で広汎な肝壊死があり、小葉像不明瞭となり、多く肝細胞は限界不鮮明となります。また脂肪浸潤を伴い、あるいは広汎な肝繊維症もみられます。
腎臓は著明な曲細尿管の破壊があります。
療法
銅中毒の解毒薬は砒素あるいは水銀中毒の場合と同様に鉄剤、煆性マグネシウム、硫黄剤、黄色血滷塩などで、これらを用いて銅を沈澱させ無害のものに変えるのです。
その他卵白、牛乳、粘液などの包摂薬を用い乳糖および骨炭末も一種の解毒薬とされます。疝痛および麻痺に対しては、それぞれ対症療法をなすべきは当然です。
証明
銅の化合物は時に検体の類緑色または類藍色を呈すから存在を知ることが出来ます。
検体の一部を白金皿に取り水を攪拌して稀粥状とし2~3滴の塩酸を加えて酸性とし清浄な亜鉛の一片を器底に置くと、白金皿、金属銅の赤色被層を生じます。
検体をフレゼニウス・バボー法により壊機し且つクロールを駆逐した後濾過し、濾液に水を加えて稀釈し、次で微温を加えこれに硫化水素を通じ析出した沈渣を乾燥洗滌した後、濾紙と共に磁製ルツボ中に入れて灰化し、その灰分に硝酸を加えて溶解し、その溶液に稀硫酸少量を加えて蒸発する。
若し蒸発残渣が緑色を呈すれば銅が存在します。
なお、確実にするためには、この残渣を水に溶解して次の反応を試みます。
(1)弱酸性溶液で磨いた鉄片か鉄線を入れると金属銅の赤色被層を生じます。
これは簡単な試験ですが、充分な成績を挙げ得るもので、例えば疑わしい飼料を酸性とし鉄製の刀尖を入れるだけで判定し得る場合があります。
(2)アンモニア水を加えると青藍色を呈します。
(3)醋酸ナトリウムを加えて微酸性とし、これに黄血塩溶液を加えるとフェロシアン銅の褐赤色沈渣を生じ、あるいは赤色となります。
銅は動植物の常在成分で、普通乾燥物質1kg中、穀物は5~14mg、豆類は18~20mgを含みます。
特に銅塩被害地における大麦、稲の子実および稿稈中の銅分含量は土壌の性質、土壌の銅分量、植物の種類、植物体の部分によつて異なりますが、大体土壌の銅量に比例し凡そ次の通りで、稲は大麦より、また稿稈は子実より多い。
また動物体中、肝、腎、神経、筋には比較的多量の銅を含むから、これの証明に当つては屢々定量試験を要することがあります。
銅含有量は急性で実質100g中、肝77mg、腎7.7mg、尿25mg/ℓから肝121mg、腎19.5mgを検出した例があり、慢性では肝臓につき乾物として1300ppm/DM以上を示すことがあり、一般に肝臓に500ppm以上の銅を含有すれば、銅中毒と判定されます。
また血液中に正常の倍位の銅含量を認めることもあります。
塩酸とクロール酸カリウムを以て弱酸性とした溶液に硫化水素を通じ、硫化銅を沈降させ、これを硝酸に溶解し、その液を蒸発乾涸し磁製ルツボで焼灼して酸化銅として秤量します。
酸化銅の100分中には79~85分の銅を含有します。

