蹄病として取り扱われる疾患の範囲には、蹄鞘を形成する蹄皮およびその内部に存在する種々の組織の疾患のほか、その発病が主として削蹄あるいは装蹄の良否と密接な関係のある、肢上部の諸組織の疾患も含まれます。
釘傷(pricks in shoeing)
正しい装蹄においては、蹄釘は白帯(線)から打ち込まれ、蹄真皮(知覚部)を避けて蹄壁外面に打ち出されるものです。
釘傷とは蹄釘による蹄真皮の損傷をいい、蹄釘が蹄真皮に直接刺入した場合を直達釘傷、また蹄真皮の付近を通過した蹄釘が蹄真皮に持続的圧迫を加えて炎症を生じたものを介達釘傷といいます。
蹄壁や蹄底の菲薄なもの・蹄壁欠損のあるもの・彎蹄・傾蹄などの場合におこりやすい。
直達釘傷では、刺入時に疼痛のため、馬は肢を牽縮し、ただちにその釘を抜くときは、釘尖に血液の付着をみる。
また蹄壁の釘孔から血液が流出する場合もあります。
介達釘傷は釘を打った時には、ほとんど疼痛をみませんが、数日後に知覚部の持続的圧迫と炎症によって疼痛を現します。
化膿性蹄真皮炎suppurative pododermatitis(知覚部の化膿性炎症)を継発したものでは、装蹄後数日を経て跛行(支跛)が突発し、蹄温の上昇をみます。
除鉄して、まず負面における釘孔の位置の正否をしらべます。
また釘孔内の探診も診断の一助となります。
なお、同時に蹄鉗子による鉗圧、および打診の反応によって知覚の異常部をしらべます。
装蹄中に直達釘傷をおこした場合は、ただちに除鉄し、釘孔よりある程度出血させたのち、ヨードチンキを注入して、蠟または仮蹄膠(グッタペルカと等量のアンモニアゴムからなる塊状のもの)を充填します。
介達釘傷では、除鉄した後局所の圧迫を避けるように、局所に隙をあけて装蹄します。
化膿性蹄真皮炎の徴候を見たならば、ただちに除鉄し、原因となる釘孔を蹄刀で広く、かつ深く開大して排膿をはかり、消毒用アルコールで徹底的に消毒したのち抗生物質の軟膏を注入し、滅菌脱脂綿を固くつめて、蹄包帯をほどこします。
この操作は化膿機転が消退するまで1日1~2回行い、また毎日1回ペニシリン(300~600万単位)全身的に投与します。
破傷風予防血清の注射を忘れてはいけません。

