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蹄の検査法 ~ 稟告・駐立時の負重検査・歩様検査・視診・触診・圧診・打診・試削検査・X線検査・診断的注射

蹄の検査法 蹄および爪の疾患

 
 

稟告

 
 
一般的な稟告のほかに次のような事項を聴取します。
 
 
蹄病は理化学的な原因ばかりでなく、内科病に継発し(蹄葉炎など)、また装蹄の失宜に原因する場合があります。
 
 
また外形上変化が現れないことが多いため、畜主に看過される傾向がありますが、一般に激痛を伴い、跛行を呈しやすい特徴があるから、これらの事項に関して十分に調べる必要がある。
 
 

駐立時の負重検査

 
 
平坦な地上に、四肢が平等に負重するように駐立させて、各肢の負重状態を調べます。
 
 
蹄に激痛のあるものは、患肢に負重せず、肢勢が内外あるいは前後にかたよります。疼痛の少ないものでは、駐立検査では不明な場合が多いので、楔を蹄下面に各方向から挿入して負重による疼痛反応の有無を調べます。
 
 
またさらに、歩様検査やそのほかの精密検査を必要とする場合があります。
 
 

歩様検査

 
 
駐立検査で跛肢が確定しないときは、平地上を常歩で歩かせて、歩様および蹄の踏着状態に注目します。
 
 
必要に応じて速歩あるいは旋回運動を命じて、発見が困難な跛肢の診査の一助とします。
 
 

視診

 
 
健康蹄の性状を十分に理解した上で、次の項目について検査します。
 
 

外形

 

左右蹄は生来、その大きさ、長さおよび角度がほぼ同じであることが多く、一方、蹄下面は前蹄においては卵円形(最大横径は中央)、後蹄は尖卵円形(最大横径は後3分の1)です。
 
蹄の角度は一般に繋の角度に近いもの(趾軸foot axisの一致)が多く、また競走馬をのぞいて、後蹄の角度は一般に、前蹄にくらべて高い傾向があります(例:前蹄50°、後蹄55°)。

 
 

蹄冠または蹄冠帯

 

蹄壁の形成層(肉冠・肉縁)を被う重要な部位です。
 
内外の高さが同じで、平等に隆起し、弾力性に富む。脱毛・痂皮・亀裂・創傷・贅生肉芽・瘻孔などの異常は蹄壁の発育に影響をおよぼすので、早期の発見と治療を必要とします(例:蹄冠躡傷→角壁腫)。

 
 

蹄壁

 

蹄壁外面の上3分の1は蹄漆(蹄縁表皮)に続く被覆層stratum tectoriumを被り、それ以下の部分は平滑です。
 
表面を詳細にみると、蹄冠から直角にスジ状にはしる無数の角細管と、蹄冠に平行した蹄輪が認められます。
 
病蹄では蹄壁に傾斜、峻立、凹彎・凸彎などの変形があらわれ、また不潔な樹皮状物の付着・亀裂・欠損・稜形隆起・柱状肥厚・溝状陥凹・異常蹄輪などをみることがおおい。

 
 

蹄輪

 

正常蹄において、成長に伴って蹄冠に平行して現れる線で、全身状態の変調や蹄病の場合に異常な蹄輪が出現するので、診断の一助となります。

 
 

蹄負面

 

装蹄した馬ではまず蹄鉄の位置の良否を調べ、次いで除鉄して負面の異常(亀裂・欠損など)の有無を検査します。
 
特に白帯は輪郭が明瞭で、分裂欠損がなく、釘孔の位置が正しくなくてはなりません。蹄支は蹄踵部の状態を代表するものですが、その方向が異常なことがあります。

 
 

蹄底

 

穹窿の異常、変色(黄色、黄褐色、赤色)、腐爛、欠損などがみられます。

 
 

蹄叉

 

蹄叉は形状および方向が正しく、弾力に富み、枯角片がなく、蹄底に突出して、発育良好なものが健康です。
 
蹄叉中心溝および蹄叉旁溝の広さや深さが異常を呈し、また蹄叉と同様に湿潤、萎縮、欠損および悪臭を示すことがあります。

 
 

蹄球

 

蹄球は、内外ともその高さがおおむね同じで、弾力に富み、亀裂や冠毛の逆立がないのが健康です。
 
蹄球間溝は蹄踵狭窄や挙踵などの際には狭くなり、時にはねじれる。
 
なお、必要に応じてキャリバー、巻尺、角時計などを用いて測診を行います。

 
 

触診

 
 

指動脈拍動の検査

 

蹄内部に炎症、特に化膿性炎があるときは、指動脈の拍動が強大になるものです。したがって、馬を静かに駐立させたのち、球節の内外両側面のやや後方において、指動脈の内外枝を母指と示指で軽く圧してその脈性を調べます。
 
この場合、つねに健康側と比較することを忘れてはなりません。
 
対側肢を挙上して触診すると感触が非常に明瞭になることが多い。急性蹄皮炎、蹄冠炎では拍動が強く、化膿性の時は一層強くなります。
 
限局性の蹄皮炎、釘傷の時は病巣の位置によって内、外指動脈の拍動の強さに差があります。数肢に同時に強い拍動があるのは急性蹄葉炎の多発を示します。

 
 

蹄温の検査

 

一般に蹄に炎症が存在する場合は、さまざまな程度の増温をみるものであるから、手掌を蹄角質の各部にあてて、増温の有無および部位を調べます。
 
この場合、対側の健康蹄と比較する必要があります。

 
 

圧診

 

蹄冠・蹄球・蹄球間溝・蹄軟骨などの柔かい組織に対しては、母指で強圧して、それぞれの部位の硬さ、および疼痛の有無を調べます。
 
蹄内部の知覚異常を知るためには、検蹄器(蹄鉗子)hoof-testerを使用します。まず肢を挙上し、検蹄器を開いて、その雌嘴を蹄壁に、雄嘴を蹄底にあて、初めは軽く圧し、次第に強圧を加えます。
 
この鉗圧は蹄尖からはじめ、蹄支角の方向に進めます。
 
蹄関節や蹄叉の異常の有無を知るには、蹄壁と蹄叉中心溝の鉗圧を行います。また検蹄器の両嘴を大きく開いて、内外蹄踵壁を鉗圧して該部の反応を調べます。
 
一般に疼痛の激しいときは、蹄を急に引き、軽度の場合は、同肢上部の筋肉の攣縮や睾丸の牽縮がみられます。

 
 

打診

 

打診槌または検蹄器を用いて蹄角質を軽く短くたたき、局部の疼痛の有無を診定する方法ですが、反応が不明確な場合が少なくないから、かならず対側健康蹄の同一部位における打診所見と比較する必要があります。
 
この方法は、ときに検蹄器による圧診よりも効果が大きいことがあります。
 
このほか白帯(白線)と角壁の間が分裂する蟻洞においては、蹄壁の軽打によって空洞音を発するので、診断の一助になります。

 
 

試削検査

 

挫跖、化膿性蹄真皮炎、白帯(線)裂などの症例では、角質の血斑、膿(蹄膿)の浸潤または貯溜、白帯(白線)の崩壊などを調べる目的で、角質の一部を鎌型蹄刀や刮削刀を用いて試削します。
 
蹄底内部の膿を探索するには白帯部を削る。もしも膿が貯溜している時は、角質の深層が黄色を帯び、かつ湿潤しています。
 
また角質が薄い時には、単に指圧するだけでも、疼痛を証明できることがあります。

 
 

X線検査

 

上記の種々の検査法で確診が下し得ない場合は、X線写真を撮影します。
 
これによって診断しうるものは、蹄骨の位置と形態の異常、蹄骨骨折、蹄関節の脱臼、舠骨骨折、舠骨の骨粗鬆症、蹄軟骨化骨、蹄内の異物などです。

 
 

診断的注射

 

この診断法は、疼痛の原因が球節の下または上位にあることはほぼ判明したが確診が下せない場合に、しばしば用いられます。
 
球節後面の両側、すなわち指動脈に平行してはしる掌神経の内外枝に対して、2%塩酸プロカイン液をそれぞれ2~3mlずつ注射(皮下浸潤麻酔)します。
 
10~15分後に注射部位以下の神経分布領域は完全に知覚を喪失(伝達麻酔)します。
 
この時期に運動を命じ、もしその肢の跛行が消失したならば、跛行の原因である疼痛がその球節以下、もしくは蹄の内部にあると診断してよい。

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