PR

骨折の二次的合併症 ~ 骨の虚血性壊死・骨の変形癒合・骨の短縮

骨の虚血性壊死・骨の変形癒合・骨の短縮 骨折

 
 

骨の虚血性壊死

 
 
関節端の骨折では、骨の虚血性壊死(avascular necrosis of bone)がおこりやすい。
 
 
特に、骨片に対する周囲の軟部組織からの血液供給が途絶して、もっぱら骨髄の血管から栄養が供給されている場合です。
 
 
受傷時または手術の際に、骨膜が広範囲に剥離された時にもおこることがあります。
 
 
虚血(局所性貧血、ischemia)によって、骨細胞が死ぬ。はじめはその部の骨の構造には変化がみられません。しかし、隣接する骨組織は虚血によって脱灰がおこり、また肉芽組織が形成されるため、X線の吸収が減退します。
 
 
したがって、X線写真では、虫食い状態になった骨の像がみえます。
 
 
虚血部の骨はしだいに堅固な骨梁構造を失うため、筋の緊張や荷重が加わると崩壊して不正形の塊になります。
 
 
骨の表面を関節軟骨がおおっている所では、軟骨が捻れたり、縮んで活性を失います。これらの経過の終末は、偽関節の形成か骨関節炎です。
 
 
犬では、①大腿骨頭および頸の骨折、②大腿骨顆の骨折、③股関節脱臼、④組織の著しい損傷を伴った骨折などの場合にしばしば、骨の虚血性壊死が発生します。
 
 
この合併症は、早期に正確な整復と堅固な固定をほどこして、隣接する関節の病変と崩壊をくいとめることが必要です。
 
 
すでに重度の変化が存在する場合には、壊死骨と偽関節の切除が必要になります。また関節形成術(arthroplasty)、関節固定術(arthrodesis)が行われることもあります。
 
 

骨の変形癒合

 
 
骨片が正しく整復されないまま癒合した場合、また治療期間中に骨片の転位がおこってそのまま癒合した場合には、骨が屈曲あるいは旋回した状態で、変形癒合(malunion)が生じます。
 
 
整復または固定の不良に基因しますが、幼若な動物では、骨端板の損傷が原因になることがあります。橈骨、尺骨、脛骨の遠位端に発生することがおおい。
 
 
これらの変形癒合を生じた骨にも、時間の経過とともに次第に自然の矯正がおこることがあります。ことに幼若動物ではその傾向が強いので、予後の判断を急がないほうがよい。
 
 
ただし、成長期の骨端板が部分的に損傷された場合には、変形が憎悪します。重度の場合には、骨切り術(osteotomy)によって矯正しますが、固定を堅固にして再発を防ぎます。
 
 

骨の短縮

 
 
骨片騎乗のまま癒合した変形癒合、骨片の喪失、骨片の過度の圧縮、骨端板の著しい損傷などの場合には、骨の短縮がおこる。
 
 
四肢の長骨の短縮に対して、ふつう動物は関節を伸展させ、あるいは肩甲骨または寛骨を傾斜させて、肢の長さを調節します。
 
 
しかし、症例によっては、髄内釘と接合副子の併用、骨切り術、骨移植などによって、手術的に矯正することがあります。
 
 
犬の橈骨と尺骨の遠位端に骨の短縮がおこると、正常には背屈した姿勢の手関節がほとんど真直ぐになって、肢の長さを補正する結果、手根骨の形と関節面が異常になることがあります。

タイトルとURLをコピーしました