末梢神経の損傷の原因
神経は鈍体の作用で圧迫や打撲により挫傷をおこすことがあり、また過度の牽張により、また脱臼や骨折などに付随して二次的に損傷をおこしたり、さらに多くの開放創に伴って、しばしば神経外傷をおこすことがあります。
さらに神経の走行路付近に注射された薬物の作用によっても、その機能が影響をうけることがあります。
このような神経外傷のうち、皮膚に開放創のないものを神経皮下損傷subcutaneous wound of the nervesといい、開放性の損傷とともに発生したものを、神経哆開損傷open wound of the nervesといいます。
これらの神経の損傷の原因となるものは前述のもののほか、腫瘍による圧迫や横臥時の体重による圧追または椎体など神経の走行路に近い骨部の変形による圧迫など多種多様です。
末梢神経の損傷の症状
末梢神経が損傷をうければ神経麻痺を呈する。
その症状は神経の支配領域により、また損傷の部位によっても異なります。一般には知覚麻痺と運動麻痺の両者を、時には一方のみを示すことがあります。
損傷の程度が軽い場合には、数時間または数日を経て機能が回復する場合もあり、また長期にわたって機能異常がのこる場合も少なくありません。
この際はその支配領域で筋や蹄骨などの萎縮がみられることがあります。
さらに血管運動神経や交感神経系などが同時に傷害されている場合には、その支配領域の皮膚から発汗したり、冷感を伴ったりすることがあり、また逆に充血したり、増温が感じられることもあります。
以上の所見および神経機能の検査法でのべた各種の方法によって、診断は比較的容易。
末梢神経の損傷の治療
軽度の圧迫麻痺にあっては、別段加療の必要はなく、原因となった圧迫を取り除けば、比較的容易に回復する。
神経の挫傷や切断が完全におこっている場合には有効適確な治療法はない。
ヴェラトリン、ストリキニン、ピロカルピン、エピネフリンなどが用いられて効果がある例もありますが、かならずしも有効ではない。
離断された神経を断端縫合する治療法は、実験的にはしばしば行われていますが、実際に発生する場合には、損傷の性質が単純でないことが多いので、臨床上利用される例は多くはない。
しかし単純な切創では受傷直後、やや複雑な損傷を伴うものでは受傷して約3週間後に、外科的吻合をほどこすことができる。

