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糖代謝異常疾患と薬物療法

プロピレングリコール 消化と栄養

 
 

糖尿病(diabetes mellitus)

 
 
5才以上の雌犬に多い疾病であり、雄犬とかその他の動物種では稀です。
 
 
多くの場合、膵の疾患の後遺症として発症する。
 
 

症状と治療

多飲多食、多尿、体重減少が特色で、呼気にアセトン臭が感じられる。

白内障を併発して昏睡におちいる。

長時間作用型のインスリンを一日一回連続投与する。

 
 

ケトン症(ketosis)

 
 
ケトン症は牛と羊に発生する代謝病で、牛では出産後の泌乳最盛期に発生し、羊では妊娠後期に発生する。本邦では乳牛のケトン症が臨床上重要です。
 
 
乳牛のケトン症は高泌乳牛の高泌乳期、即ち泌乳開始後の1~6週間に発症し易いし、またこの時期に他の原因によって食欲不振になった時にも発症し易い。
 
 

ケトン症の治療薬

 
 
治療薬には①肝へのオキザロ酢酸の補給にグルコースやプロピレングリコール、②泌乳量の抑制に糖質コルチコイド、③脂肪組織からの脂肪酸遊離抑制にインスリンなどが用いられる。
 
 

グルコース

ケトン症では体内のグルコースが不足するので、グルコース投与によって補う。この投与によって肝のオキザロ酢酸の含有量を高める。グルコースは静注する。

経口的に投与したのでは第一胃内で全量が酢酸・酪酸・プロピオン酸に分解されるので能率が悪い。

 

プロピレングリコール(propylene glycol)

オキザロ酢酸前駆物質を経口投与する方法は優れた治療法になる。プロピレングリコール以外にもプロピオン酸マグネシウム、グリセリンなどが用いられる。

これらの薬物は投与後急速に吸収され、肝でオキザロ酢酸に変換される。

 

糖質コルチコイド

この群の薬物としては副作用の少ない合成皮質ホルモン薬が用いられる。泌乳量を低下させ、また血糖値を高める。

合成皮質ホルモンは急性ケトン症(神経型)に対しても有効であり、この作用は乳量低下や血糖上昇だけでは説明できない。一部のケトン症では皮質ホルモンが無効です。

 

インスリン

インスリンは脂肪組織からの脂肪酸遊離の抑制を目的として投与されます。通常、徐放性の亜鉛プロタミンインスリンを合成皮質ホルモン薬と同時に筋肉内に投与する。

 
 

乳牛ケトン症の発生機序

 
 
牛では第一胃内で飼料から酢酸、酪酸、プロピオン酸が作られるが、これらの酸が吸収されると肝で酢酸と酪酸から(高級)脂肪酸が形成され、プロピオン酸からはコハク酸、ピルビン酸PO₄(ホスフォエノールピルビン酸)を経由してグルコースとグリセリンが形成される。
 
 
泌乳中の乳腺細胞では脂肪酸とグリセリンから乳脂肪が、グルコースから乳糖が形成される。高泌乳牛では消化管から肝を経て供給される脂肪酸やグルコースだけでは不足することが多いので、不足すると貯蔵脂肪やグリコーゲンからも供給される。
 
 
貯蔵脂肪から供給される脂肪酸の大部分は肝でアセチルCoAに変換されて、乳脂肪に適合する高級脂肪酸やグルコースの合成に利用される。
 
 
このためには、アセチル基の一部がTCAサイクルに入る必要がありますが、消化管からのプロピオン酸の供給が不十分な状態であるから、肝細胞中のオキザロ酢酸(C₄プール)が不足し、アセチル基がTCAサイクルに入る事ができなくなる。
 
 
このために、余剰になったアセチルCoAからケトン体が形成されて血中に出て、さらに尿中に出る。またグルコース供給が不足するために血糖値が下がる。
 
 
食欲不振のために第一胃内に入る炭水化物が減少して低級脂肪酸の形成が不足したときも同様な変化が起る。

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