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インスリン(insulin) ~ 糖代謝の異常に用いる薬物

インスリン 消化と栄養

 
 
天然インスリンは豚、牛の膵臓から抽出し、その最終段階で酢酸亜鉛を加えて亜鉛塩を沈殿させる。
 
 
分子量約6千のペプチドであり、2個のペプチド鎖がS-Sによって結合している。
 
 
等電点は5.3であり、pH5~7の水には溶けない。
 
 
アミノ酸組成は動物種によって一部が異なり、人・牛・豚は異なるが、犬と豚は同一です。
 
 

吸収・体内動態

 
 
インスリンは糖尿病の治療薬であるから長時間にわたって持続的に作用する必要があります。しかしインスリンの体内消失は速やかであるから、注射部位からの徐放性製剤が用いられる。
 
 
局方には6種類の製剤が記載されています。亜鉛塩を塩酸で溶解した溶液は静注も筋注もできるが、その他の製剤は混濁液であるから筋注で用いる。
 
 
インスリン亜鉛の水混濁液に塩化亜鉛溶液を加えると筋注後の吸収が遅くなる。また、塩基性蛋白のプロタミンを加えても吸収が遅くなる。
 
 
吸収されたインスリンは肝や腎のグルタチオン依存性水素転移酵素によってS-S結合を切断され、急速に分解される。
 
 
血中半減期はどの動物種でも10分程度です。
 
 

薬理作用

 
 
静注されたインスリンは急速に消失するのに、その作用は直後から数時間続く。
 
 
肝細胞に働いてグルコースの遊離を抑制し、脂肪酸の取込みを促進する。また筋に働いてグルコースやアミノ酸の取込みを促進し、脂肪組織からの脂肪酸遊離を抑制する。
 
 
この結果、血中グルコース、アミノ酸、遊離脂肪酸の濃度が減少する。
 
 

作用機序

 
 
標的細胞の細胞膜にあるインスリン受容体の作動領域はチロシンキナーゼであり、結合領域にインスリンが結合すると活性化して各種の機能性蛋白前駆体のチロシン末端にリン酸を結合させて蛋白を活性化する。
 
 
インスリンの作用はこれらの機能性蛋白の活性による。
 
 
受容体は常に新生されており、半減期は1日だといわれている。細胞あたりの受容体数は細胞の種類によって大きく異なるが、受容体の10%にインスリンが結合すれば作用が最大になるといわれている。
 
 

臨床応用

 
 

①糖尿病の治療に用いる。インスリンによる治療を始めると生涯にわたって続く。
②欧米では牛のケトン症の治療に用いているが、脂肪酸の遊離抑制が目的です。

 
 
市販製剤の成分には牛豚由来(安価)・豚由来・牛由来の天然インスリンと、バイオ技術によって作られたヒトインスリンがある。犬に用いるには豚由来が適切です。
 
 

インスリン注射液

作用持続時間が6~8時間であるからあまり用いられない。

 

インスリン亜鉛水性混濁注射液

1日1回の投与に適した製剤

 

プロタミンインスリン亜鉛水性混濁注射液

2日に1回の投与に適した製剤

 
 

トルブタミド(tolbutamide), 経口抗糖尿病薬(oral antidiabetics)

 
 
経口的に与えると血糖値を低下させる薬物は経口抗糖尿病薬と呼ばれている。代表的な薬物はスルフォニル尿素誘導体のトルブタミドです。
 
 

体内動態

経口投与後の吸収が速やかで完全であるが、肝での酸化による消失も速い。

従って作用が短く、1日に3~4回の投与が必要です。

 

薬理作用

①膵のβ細胞に働いてインスリン分泌を増し、②α細胞に働いてグルカゴンの分泌を抑制する。

③インスリン標的細胞のインスリン受容体の数を増加させる。

以上の機序によって血糖値を低下させる。

 

臨床応用

犬の糖尿病の殆どの症例に無効です。

犬では重症でないと診療の対象とならないのでβ細胞の反応性が失われていると説明されている。軽症例では有効であるとの報告もある。

犬に対しては肝毒性が強い。

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