クル病(rickets)
成長期動物の骨の化骨不全症で、長骨末端の肥大や変形が特色。跛行がみられる。
VDとPの一方または両方の摂取不足や吸収不全が原因になる。また乳子期の紫外線被照射の不足も原因になる。
VDを投与する。
Caの投与は必要性を見極めてからでないと不適当です。
骨軟症(osteomalacia)
成熟期の骨化不全で一般に成長が遅れ、骨折が多い。骨化不全が頭骨にみられる。
Pの摂取不足によるので、Pの飼料添加投与で治療する。
栄養性上皮小体機能亢進症(nutritional hyperparathyroidism)
成長期に多く、長骨の骨化不全や変形、跛行などが認められ、クル病との鑑別が難しい。
Caの摂取不足による。
草食動物では穀物多給やシュウ酸含有植物の摂取過剰が原因になるし、犬猫では肉や肝の摂取過剰が原因になる。
Caを経口投与する。
VDやPは投与せずに、治療が進んでからCa/Pを補正する。
腎性クル病(renal rickets)
老齢の犬猫に発生し、頭骨と下顎骨の脱ミネラル化が進行して軟くなる。
血漿中のCa濃度は減少し、P濃度が高くなる。腎障害が重篤。
上皮小体機能が亢進するが、原因は不明。
適当な治療法もない。
乳熱(milk fever)
乳牛の急性低カルシウム血症。出産後72時間以内に発症するが、48時間以内が多い。三産目が好発期です。
運動麻痺のほか、神経症状と体温低下が主な症状です。
乳牛の妊娠後期には胎子の発育のために5~10g/dayのCaが余分に必要です。出産して泌乳期になると乳中へ20~40g/dayのCaが分泌される。
出産前にCa給与が多過ぎると血漿中Ca濃度が高くなって上皮小体機能が低下し、PTHや活性VDの血中濃度が低くなる。
出産後に泌乳によって急にCaの体内消費が多くなっても、それに見合う上皮小体機能亢進やVDの増加が間に合わずに低カルシウム血症になると説明されている。
グルコン酸カルシウムを静注する。
予防には、①出産前4週間のCa給与量を減少させるとか、②出産前後にPTH非依存性VDを投与するなどの方法が推奨されている。
その他の動物種の急性低カルシウム血症
出産前後にみられる痙攣性発作を起こす低カルシウム血症。
授乳期の雌馬が発情した時に種付けのために長距離を輸送すると発症することがある低カルシウム血症。
牛の低マグネシウム血症(グラステタニー grass tetany)
雌成牛に多く、血漿中Mg濃度が1.8mg/dl以下になると軽度の神経症状、食欲・泌乳量低下がみられる。
1.0mg/dl以下になると全身性の強直性痙攣を発症する。
Mgの摂取か吸収の不足による。
Mgの吸収率やMgの体内消費が色々な条件で変化するので病因の決定が難しい。
診断がグラステタニーと確定すれば硫酸マグネシウムを静注する。
不確実ならキシラジンを注射してMg剤を経口投与する。
この疾病は鉱塩が普及してからも散発している。
尿石症(urolithiasis)
雄の牛と犬猫に発症し、尿路閉鎖の原因にもなる。
家畜の尿石はマグネシウム・アンモニウム・燐酸が主成分になることが多い。
MgとPの多給とウレアーゼ生産菌による尿路感染が原因になる。
放牧牛ではグラステタニーの予防にMgが給与されるし、若齢肥育牛では飼料効率の改善を求めてマグネシアが高濃度に飼料添加される。
牛や犬では塩化アンモニウムか食塩を経口投与する。塩化アンモニウムは代表的な尿の酸性化薬です。食塩が有効なのは①弱い酸性化薬であり、②Mgを可溶性のCl塩として排泄させるからです。
尿路感染の治療も重要です。
猫には食塩が無効で、塩化アンモニウムが経口投与される。
欧米の小動物臨床では犬猫の尿酸性化薬としてdl-メチオニンの人気が高い。

