駆虫薬は体内に寄生する蠕虫類、即ち線虫・条虫・吸虫を駆除する目的の薬物です。蠕虫のうち線虫と条虫のおおくは、消化管内に寄生していますが、吸虫類および一部の線虫は各種内臓組織(消化管壁を含む)に寄生しています。
しかし全体的には消化管内寄生虫が主要寄生虫の大半を占めています。
薬物体内動態と有効性
現在用いられている駆虫薬のほとんどは経口的に投与されますが、その多くは消化管からの吸収性のよい薬物です。高い吸収性の薬物が選択されたのは次の理由です。
●寄生虫への選択性が強く、吸収されても宿主に強い毒性を示さない。
●組織に寄生する寄生虫や消化管内寄生虫の体内移行中の幼虫には吸収された薬物だけが有効である。また、消化管内寄生虫でも吸血性の虫には血液中の薬物を血液と一緒に摂取させた方が有効性が高い。
病害に関しては、組織中の幼虫と吸血性寄生虫による病害が大きい。
吸収性の高い薬物が胃以外の消化管内に寄生する寄生虫の駆虫に用いられる条件としては消化管内への分布性の高いことが挙げられる。
このためには胆汁を通じて分布されるか腸管分泌によって分布される必要があります。したがって、糞中排泄率の高い薬物が選択されます。
この結果、他の薬物の排泄では尿中排泄が主体になりますが、駆虫薬では糞中排泄率が高く、50%以上になる薬物もあります。
一部の駆虫薬、たとえばベンツイミダゾール系薬物の多くは非吸収性であり、大部分が糞中に排泄されます。非吸収性の駆虫薬は腸管吸収性が低くても虫体への吸収性の高い薬物であることが有効性の条件となります。
すなわち、吸収に関する選択性が必要です。
駆虫薬の使用方法
●予防的用法
飼料に低濃度添加して常時投与を続ける方法で、子豚、ブロイラー、産卵鶏の更新鶏で採用される。
●防除的用法
衛生プログラムに従って、一定の時期に治療量を投与する。肥育豚、繁殖用豚、フィードロット牛で採用される方法です。
子豚やブロイラーでも一部の個体が発症すると群全体に治療量を投薬します。
●治療的用法
牛馬や小動物では、診断によって寄生虫病であると判定された個体に投薬する。
線虫は運動器官と生殖器官が良く発達した生物ですが、特に運動器官の発達が著しく、これによって宿主体内における寄生部位を確保しています。
例えば、腸管内線虫は常に上方に向かって移動し続けるし、肺虫は常に気管支の奥へ向かって動き続ける。もし運動が止まれば腸管内線虫は腸管内容と共に流されて排泄されるし、肺虫は気管粘膜の線毛運動によって気管から排出されます。
線虫はその運動のために大量のエネルギーを消費するので、常にエネルギー源の確保とエネルギー生産が必要です。
