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疥癬(症状・予防) ~ 激症例では全身脱毛もみられ、全身感染をみる激症慢性例では栄養不良、削痩も現れる

疥癬(症状・予防) ダニ類

 
 
潜伏期は疥癬虫の種類や宿主の感受性によって異なりますが、一般に2~6週間と考えられています。馬に穿孔疥癬虫を人工感染させて17日と24日に発症した。また、健康犬を重症犬に同居させ、6日後に痒覚がみられ、8日後には小結節の発生をみたと報告されている。
 
 
ヒゼンダニ科の疥癬虫は皮膚を穿孔し、キュウセンダニ科の疥癬虫は皮膚を穿孔せず、皮膚表面に寄生して皮膚病変を発生します。疥癬の症状は、寄生疥癬虫の種類によって異なりますが、共通症状として重要なのは痒覚です。
 
 
症状の進行によって皮膚炎を発生し、病変皮膚に発赤、小結節、小水疱、膿疱、痂皮を生じ、患部には皮膚肥厚、脱毛あるいは被毛の糾合がみられます。
 
 
激症例では全身脱毛もみられ、全身感染をみる激症慢性例では栄養不良、削痩も現れます。皮膚病変の発生には虫体による侵襲、疥癬虫の分泌・排泄物および過敏症反応が関与しますが、さらに、細菌の続発感染や、痒覚からの局所摩擦、咬噛によって二次的に病変が悪化します。
 
 

●穿孔疥癬
 
 
穿孔疥癬虫による疥癬の発生は犬に最も多く、馬、豚にもみられますが、牛、めん羊にはきわめて少ない。感染動物の初期症状は、激しい痒覚と病変部の紅斑、丘疹であり、これら病変の発生には過敏症反応が関与している。
 
 
症状の進展により皮膚は肥厚して皺襞を生じ、落屑おおく、脱毛もみられ、悪臭を放ちます。二次感染により膿皮症をみることもあります。
 
 
犬での皮膚病変の特徴は、境界不鮮明な散漫性脱毛と皮膚炎であり、初発部位は頭部に多いが、必ずしも特定な好発部位はない。病変の蔓延が速く、はなはだ強い瘙痒性皮膚炎が短期間に全身に広がる。
 
 
成犬では皮膚病変は慢性化しやすく、乾性傾向にあり、皮膚に肥厚、皺襞、色素沈着、落屑が多いなどの所見がみられます。幼犬では、急性炎症が強く、漿液浸潤、膿疱、出血、痂皮形成などの激しい皮膚変状が生じます。
 
 
犬の穿孔疥癬虫がヒトに感染し、激しい痒覚と持続する丘疹性皮疹の発生が知られています。
 
 
馬の疥癬のうち穿孔疥癬は最も激しく感染性も強い。初期症状は一般に頭、首、肩部に痒覚、紅斑、丘疹、水疱のある急性皮膚炎を生じ、落屑多く、皮膚に肥厚、皺襞をみる。
 
 
病変の進行によって全身性となり、食欲不振、栄養不良、衰弱などが現れます。
 
 
豚では一般に耳、眼、鼻などの頭部に初発して全身に広がる。痒覚が強く擦過傷による二次的皮膚損傷も生じ、皮膚は発赤・肥厚し皺襞が生じ、粗造で乾燥して痂皮が覆う。また発育不良もみられます。
 
 
牛では病変の初発部位は一般に頭・頸部であり、全身に広がる。
 
 
激しい瘙痒性皮膚炎が生じ、病変の性状は馬の本症に類似します。皮膚の肥厚と皺襞は特に顔面と頸部に顕著です。
 
 
めん羊では病変は被毛の短い頭部、顔面にみられます。

 
 

●小穿孔疥癬
 
 
猫小穿孔疥癬虫による疥癬が猫、ウサギに知られています。まれに犬にも感染します。猫の本症は頭部疥癬といわれ、ほとんどの例が耳端に初発し顔面、頭部へと広がります。
 
 
若猫ではときに四肢、腹部など全身性に蔓延をみることもあります。病巣部の皮膚には肥厚、皺襞、皮疹および脱毛がみられ、黄褐色の落屑性痂皮によって覆われ、はなはだ汚染した外観を示す。
 
 
全身感染をみる幼猫では脱水・衰弱し死亡することもあります。
 
 
猫小穿孔疥癬虫がヒトに感染し、ヒト疥癬に類似した皮膚炎症状を生じますが、疥癬虫のヒトからヒトへの移行はほとんどなく、ヒト例では多くが虫体は検出されない。単に刺咬するだけなのかも知れません。

 
 

●鶏脚疥癬
 
 
鶏脚疥癬虫は鶏、七面鳥、鳩、その他鳥類の脚、趾の鱗片下に穿孔して寄生します。病変部には痒覚、炎症を生じ、滲出物多く、灰白色の痂皮を形成し、鱗片は荒立ち、病変の進行によって、痂皮は瘤起し脚全体を覆うようになります。
 
 
これを鱗状脚(scaly leg)と称します。
 
 
重度のものでは脚は変形し跛行します。

 
 

●鶏疥癬
 
 
鶏疥癬虫は鶏の羽毛基部の皮膚に穿孔して寄生します。病変部は特に背、頭、首、腹、上脚部にみられ、翼、尾羽部は寄生を受けない。
 
 
病変部には激しい痒覚と羽毛の脱落、落屑増加がみられ、皮膚に丘疹、肥厚、皺襞を生じます。これら病変は特に頸部に激しい。
 
 
重度感染では死亡します。

 
 

●吸吮疥癬
 
 
吸吮疥癬虫による発症がめん羊、牛、馬、ウサギに知られています。この疥癬虫は成虫が表皮を穿刺して組織液を吸うので、局所に皮膚炎を生じ、痒覚と組織液の滲出をきたし、被毛に痂皮を形成します。
 
 
めん羊の、Psoroptes ovisによる疥癬は最も重要であり、病変は長毛で覆われる被毛部にみられます。初期症状は痒覚であり、噛み、器物で引っ掻き、被毛、皮膚に損傷が加わる。
 
 
病巣には結節と水疱を生じ、落屑多く、滲出液で被毛が糾合して脱落し、フェルト状の痂皮で覆われる。虫体は痂皮の辺縁に活発で、病変が周辺に蔓延していきます。
 
 
広範に病変が広がると、削痩、貧血、浮腫を生じて悪液質の状態となります。馬のP.equi、牛のP.natalensisによる疥癬は体部疥癬といわれ、病変が馬では、たてがみ、尾根部、腋下、乳房、包皮などに、牛ではき甲、頸部、尾根部にはじまり、他の被毛で覆われる体部へ広がっていきます。
 
 
症状は痒覚と、皮膚に脱毛、痂皮形成、肥厚などの病変の発生です。
 
 
ウサギ吸吮疥癬虫はウサギ、馬、めん羊などの耳管内に寄生し耳疥癬を発症します。ウサギは頭を振り、耳を掻き、耳管内に褐色の悪息ある分泌物と耳介にフレーク状の痂皮を多量に形成します。
 
 
病変はときに顔面、首、肢に広がり、斜頸、平衡障害、髄膜炎を生ずることもあります。馬、めん羊でも耳管内の痒覚と病的分泌物によって頭を振る症状がみられます。

 
 

●食皮疥癬
 
 
牛食皮疥癬虫による疥癬が馬、牛、めん羊、山羊にみられ、馬、牛では普通の疥癬です。馬では脚疥癬といわれ、病変部は主として脚の下部にみられ、激症例では腋下・肩・頸部に蔓延します。
 
 
強い痒覚と滲出現象の強い湿性皮膚炎を生じ、皮膚に被毛湿潤、落屑増加、痂皮、肥厚などの変化が認められます。牛の本症は本邦でも普通です。
 
 
尾疥癬といわれ、病変はおもに尾部にあり、他にも広がります。また、脚に病変が発生することもあります。病巣部には皮疹と滲出液の滲出がみられ、皮膚は肥厚して皺襞を形成し、被毛はマット状となります。
 
 
めん羊では病変は後肢・肢間部、陰嚢に頻発します。米国、ニュージーランドではめん羊にふつうにみられる疥癬とされます。

 
 

●耳疥癬
 
 
耳疥癬虫による耳疥癬が犬、猫、その他食肉動物に知られています。疥癬虫は耳管内に寄生し、表皮を穿刺して組織液を吸い、あるいは落屑上皮や耳垢を食していると考えられます。
 
 
その結果、耳管内に激しい痒覚を生じ、滲出液や耳脂腺分泌が亢まり、茶褐色の耳垢の集積をみる。一般に両耳に感染がみられます。
 
 
罹患動物は頭を振り、耳を激しく掻き、斜頸、旋回運動、痙攣をみることもあります。大きな垂耳ではときに外傷性に耳血種を生じることもあります。
 
 
耳疥癬虫は犬、猫にかなり高率に寄生しており、米国では犬に27~100%、猫に75%。英国では犬に、2.5~3.5%、猫に20.2~28.4%。オーストラリアでは犬に、29.1%が知られています。
 
 
本邦にも多く、耳疥癬虫に原因する外耳炎の発生が、犬で21.4%、また国外では、ストックホルムで3.2%、エジンバラで6.0%などが報告されています。
 
 
虫体の検出は夏よりも冬に高い。

 
 

疥癬の予防

 
 
疥癬虫の感染は、感染動物や感染動物が触れた物体との接触によって、虫体、虫卵が直接あるいは間接的に伝播するので、病畜を隔離し、動物舎や用具を殺虫剤で洗浄処理します。
 
 
宿主体から離れたダニは長時間は生存できない。

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