リーシュマニア症は人畜共通原虫性疾患として重要であり、ヒトの本症に内臓リーシュマニア症と皮膚リーシュマニア症があります。
ヒトの内臓リーシュマニア症には、L.donovaniを原因とするインド型とアフリカ型、L.infantumを原因とする地中海型(小児型)、L.chagasiを原因とする南米型などの病型があります。
このうち、L.infantumとL.chagasiは犬に自然感染がみられます。したがって保虫者としてヒトへの感染源となり重要です。
犬の内臓リーシュマニア症はヒトの小児リーシュマニア症(小児カラアザール)(原因:L.infan-tum)、南米型内臓リーシュマニア症(原因:L.chagasi)の発生地域にみられます。
これらに発生地域のなかには、犬に高い発生をみる国があります。ギリシャではL.infantumの発生が40%と高率に知られており、米国では1955~1970年間に犬の内臓リーシュマニア症が4例あったが、いずれもギリシャからの輸入犬です。
犬の内臓リーシュマニア症は慢性経過をとり、致死率も低いのがふつうですが、致死的な急性例も知られています。病変は皮膚病変が顕著で、潰瘍、脂漏、広範な脱毛がみられます。
また、肝・脾腫、骨髄うっ血、リンパ節腫脹、腸粘膜潰瘍も認められます。原虫は皮膚、臓器にみられる大食細胞内に多数寄生しています。
潜伏期は一般に数か月であり、上述の皮膚症状、貧血、削痩、衰弱が最もふつうの症状です。進行した症例では下痢、鼻出血、跛行も認められます。
ヒトの皮膚リーシュマニア症には、旧大陸にみられる、L.tropicaを原因とする乾性皮膚リーシュマニア症(東洋瘤腫)、L.majorを原因とする湿性皮膚リーシュマニア症、L.aethiopicaを原因とする乾性皮膚リーシュマニア症、新大陸にみられるL.mexicanaを原因とするchiclero’s ulcer, L.braziliensisを原因とするespundia, L.peruvianaを原因とするutaなどがあります。
これらのうち犬に自然感染する重要な種類は、L.tropicaであり、犬の自然感染は普通にみられ、ヒトへの感染源としての可能性がある。
L.peruvianaはペルー、ボリビア、アルゼンチンなどの山岳地帯にみられ、犬に自然感染があり、流行地では飼犬の感染率は50%に達します。したがって、保虫者としても重要です。
L.braziliensisも犬、猫にときに自然感染をみるが、保虫者とはならない。
犬のL.tropicaに原因する皮膚リーシュマニア症はヒトの同症に似ており、病変は皮膚に限定して現れます。特徴は皮膚潰瘍であり、潰瘍は乾性、湿性で化膿性を帯びクレーター様であり、厚い痂皮によって覆われています。
病変の縁は紅斑性で脱毛がみられる。原虫は潰瘍辺縁の病巣にみられる大食細胞内に多数寄生しています。
リーシュマニア症の予防
感染犬は隔離して治療し、流行地では野犬の淘汰を行う。
媒介昆虫であるサシチョウバエを殺虫剤を用いて駆除する。

