雌・雄の牛の生殖器に接触感染性に発育をみる、胎子トリコモナスを原因とする原虫病です。雌牛は感染後まもなく膣炎を生じ、膣分泌物の増量、また、陰唇はわずかに腫脹します。
しかし、この初期段階は見逃されることが多く、やがて膣分泌物は黄白色から乳濁様に変わり、陰唇より量多く排出するようになります。
これは本症の特異的所見です。感染は膣から子宮内へと進み、感染雌牛は妊娠しても2~4ヶ月にして胎子は死亡して流産します。
本症は子宮蓄膿症や子宮内膜炎を併発する原因となりますが、それは早期胎子の死とその融解の結果です。
このような併発症は感染牛群に低率に発生し、不妊牛として特徴づけられます。
子宮蓄膿症では発情はみられません。また激しい膣炎や頸管炎をみることは稀です。感染雌牛は、一般に慢性経過をとりながら、数年後には漸次自然に回復します。
雄牛の症状は軽く、包皮炎から粘膜の充血、腫脹、膿様分泌物の排泄また、感染雄牛の多くは適当な治療を行わないと、長年にわたり感染が持続します。
トリコモナス症の予防
感染源として罹患種牡牛が重要ですから、感染雄牛の摘発を厳重に行い、感染雄牛は淘汰します。また直接交配を避けて人工授精によって繁殖を行います。
検疫を厳重に行い、感染牛の国内への持ち込みを阻止します。本症はまれに接触感染もあるので、感染雌牛は治癒するまで隔離します。
本邦では罹患種牡牛の淘汰と、人工授精を強力に進めた結果、1960年以降に発生をみていない。この2つの実施がいかに本症の撲滅に有効であるかの実証でしょう。

