
電気孵卵器には2種類あって、静的法によるものと動的方法を採用したもので、前者は平面孵卵器、後者は立体孵卵器として市販されています。
両者で操作温度が異なり、前者は卵の上端の温度が華氏103°F(摂氏39.4℃)に保つのですが、後者は、99.5°F(37.6℃)です。多くの繁殖家は空気流動法の後者が優れている事を認めており、これを使用していますが、卵の収容個数が多くて450個以上(現在は300個用位でも販売しています)のものでないと、この方法のものがありません。
60個用位の小型のものならば、静的の平面孵卵器になります。これでも大概の雉類の卵の孵化に間に合います。水鳥卵だと立体孵卵器でないと、成績があがらないと思います。
まず静的法である平面孵卵器についてですが、この機械は底に平たい水槽があり、これが機内に適当な湿度を与えるのですが、その水槽の上に金網床の卵台があって、孵化すべき卵を並列して入れます。
この際、卵は鈍端を上にして置くと良いのですが、横倒しの儘でも孵化率にたいした影響はないようです。この卵の上端に接し平行して温度計があり、其れから一定の距離をおいて一番上に電熱線が配置されてあって、此れが孵化に必要な熱を出します。
孵卵器の底に空気穴があり、また上方側面にも数個の穴があって、此の穴の開閉によって内部の湿度の調節ができるようになっております。即ち、穴を小さくすれば湿度が高くなるし、大きく開けぼ湿度が低くなります。
此の方法だと、空気の流通は孵卵器を設置してある孵卵室と孵卵器内の温度差で自然流通しているのですから、寒い春の初めは空気の流通が盛んで湿度も低くなり、夏になると外気温の温度が機内温度に近づき、空気の流通が悪くなり又、湿度が高くなり調節が一定しませんので、人が昼夜孵卵器に付き切りで調節しないと好結果が得られません。
卵は1日4回転卵します。1日2回でも大丈夫です。転卵の角度は15度ですが、ふつうは卵に目印を入れて180°転卵します。この操作は卵の胚が卵殻に固着しないようにするのです。
且つ、静的法だと温卵と孵化の2台の孵卵器を用意することが出来ません。これに比較して動的の立体孵卵器は卵台が数段に重ねてあり、扇風機によって一定の温度と湿度を持った空気を卵の間を通して全機内を循環させるようにしてあります。
温卵部と孵化部の二部に分かれていますが、孵化部の方は静的法で扇風機はありません。温卵機の方は卵台が回転するようになっており、この回転で卵が転卵します。
卵台の回転は手動式のものと、電動式のものがあり電気自動転卵装置を有するものなら大変便利で、1時間毎に自動転卵します。温卵機と孵化機の2部分を用意することによって、孵化3日前になってから卵を孵化機に移し、温卵の際と、孵化の際の条件を変える事が出来ます。
鶏等、家禽の卵は調節の範囲が広くて容易に孵りますが、雉・水鳥等の特にデリケートな高級鳥は、温度と湿度と空気の厳密な調節が必要で、健康な雛の誕生の条件が狭い範囲に限られておりますので、優秀な孵卵器を使用しないと孵化の成果を挙げる事ができません。
外国には優秀な孵卵器が発売されており、雉類用・雁鴨用等あり、一定時間置きの転卵やまた、給水も凡て自動化され季節の初めにこれ等の装置を一度調節しておけば後は全期間を通じて人間が機械に手を触れなくても自動的に次から次へと雛を孵らせるようになっているものがあります。
しかし、近年これらの機能が取り入れられ、自動転卵・自動給水式のものは国産の孵卵器にも見れらます。
孵卵器に使用する温度計と湿度計は必ず使用前に一度検定しておかなければなりません。且つ、温度計は水銀球のものでないと狂いが生じやすいです。此の温度計の目盛りの検定には0℃の氷と、水の沸騰点の100℃を利用することは出来ません。
使用温度である37°~39℃付近で正確かどうかを検定するには市販の標準温度計と目盛りの比較をするのが一番簡単です。温度計の目盛りは0.2度まで読めるもので、正確度も0.2度の誤差以上であってはなりません。
前述の様に卵の転卵は、孵化2~3日前に中止して、別に孵化器がある場合には孵化器に移して、孵化を待ちます。孵化器における温度は多くの繁殖家は温卵機と同じ条件でやっているのですが、温度を幾分高くする方が良い場合もあるでしょう。
孵卵器の命は温度・湿度・通風、此の3つの完全調節です。

