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犬の趾端の疾患(Diseases of the Canine Claw) ~ 裂爪および折爪・爪囲炎・異物・肉球の創傷・角化症・趾間肉芽腫症または趾間嚢腫

犬の趾端の疾患(Diseases of the Canine Claw) 蹄および爪の疾患

 
 
犬の肢端の負面には肉球pad,torusがあります。前肢には大きな掌球metacarpal pad 1個、指球digital pad 5個(第一指の根部のは痕跡的)および手根関節の後面に手根球carpal padが1個、また後肢では掌球よりやや小さい足底球metatarsal pad 1個と趾球digital pad 4個があります。
 
 
肉球は結合織、弾力線維および脂肪からなる弾力性の組織で、表皮は厚く、爪化し、皮膚と密に接着します。
 
 
爪は鉤爪clawで、前肢に5個、後肢に4個存在し、円錐形の角鞘hornysheathを形成し、爪壁が著しく彎曲し先が尖っています。
 
 
この爪鞘vagina unguisは末節骨を包み、爪鞘根部の冠状縁coronary borderは末節骨の爪櫛ungual crestに嵌入しています。
 
 
この部分の表皮の胚芽層(爪芽層stratum germinativum unguis)はその下層の真皮層とともに、爪の成長に関与する重要な部分で、爪床matrix unguisといわれています。
 
 

裂爪および折爪(split and broken claws)

 
 
爪が裂け、あるいは折れて真皮層が露出することがあります。
 
 
ダックスフント種の犬の爪は遊離端から割れやすい傾向があります。1本の爪にだけ発症した場合には多くは外傷性です。
 
 
温湯に浸漬して裂けた爪片を除去し、出血は焼灼または圧迫包帯によって止めます。2本以上の肢の数本の爪に起こった場合は原因は不明であり、また治療に反応しないことがおおい。
 
 

爪囲炎(paronychia)

 
 
爪周囲の軟部組織の炎症で、原因の大多数は細菌感染ですが、他に皮膚糸状菌や酵母の感染例も知られています。
 
 
多数のあるいは全部の爪が侵された時は天疱瘡、全身性紅斑性狼瘡、時には糖尿病などの全身病が疑われます。
 
 
細菌性爪囲炎は慢性の経過をたどることが多いですが、爪の基部の皮膚ヒダ(爪郭nail fold)の下に化膿巣ができるので、抜爪して排膿を図りますが、その際あまり著しい出血はありません。
 
 
その後大抵爪は再生します。
 
 

異物(foreign bodies)

 
 
異物が肉球内に食い込んだ場合に、その所在をたしかめることは、かならずしも容易ではないので、X線検査を行う必要が生じます。
 
 
また草の芒が趾間に刺入して生じた単純な腫脹は、趾間嚢腫と区別する必要があります。
 
 

肉球の創傷(wounds of the pads)

 
 
肉球に生じた創傷が一次的治癒を営まない時には、しばしば潰瘍が発生します。
 
 
掌球または足底球に広範な潰瘍が形成されると治癒困難で、ついには脚の切断を必要とすることがあります。
 
 
肉球の裂創にはすべて、辺縁切除術をほどこしたのち縫合し、全治するまで肢端を保護しなければなりません。
 
 

角化症(hyperkeratosis)

 
 
肉球の角化層が著しく増殖したもので、その原因は不明な点が多いですが、そのなかには犬ジステンパーウイルスと関係のあるものが含まれています(硬蹠症hard-pad disease)。
 
 
肢端を温水中に浸して角化層を軟化させ、過剰の部分を切除します。
 
 

趾間肉芽腫症または趾間嚢腫(interdigital granulomata or cysts)

 
 
草の芒のような異物の刺入、皮脂腺・毛包の閉塞による刺激および感染が原因となって発生するもので、特異な病原菌は確認されていません。
 
 
感染は通常二次性ですが、癤を発することがあります。
 
 
種々の品種の犬に発生しますが、プードルとボーダーコリーでは少ないという。
 
 
病因は多因子性と考えられ、毛包の細菌感染、感染過敏症、接触アレルギー、免疫欠損、趾間の皮膜(wed)の構造、異物(毛、草の芒、種子など)の刺入、慢性の刺激(小石、砂礫、イバラ、短い剛毛など)などが挙げられています。
 
 
角化し、棘状を呈する表皮の下に、濃厚な炎性滲出物が貯溜し、肉芽組織のなかに壊死巣が埋没した肉芽腫性であって、病理組織学でいう嚢腫の構造を呈することはありません。
 
 
この肉芽腫症は、主として趾間の皮膜に軟らかい波動性のある腫脹が出現し、疼痛があり、犬はしきりに患部をなめるため病状が悪化します。
 
 
次第に大きくなって数日後に自潰し、時には血色を帯びた水様液または皮脂様の物質が排出されます。放置すれば感染して瘻管を形成します。
 
 
患部を切開、掻爬し、内腔を焼烙します。
 
 
化学療法をほどこして感染を防ぎます。ビタミンAを予防的に投与することがありますが、効果は疑わしい。
 
 
予後判定はつねに慎重を要するもので、再発することが少なくない。なかには再発をくりかえし、病変が重度のため安楽死に付することもあります。

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