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主な関節部の損傷 ~ 肩関節部・肘関節部・手関節部・冠膝

冠膝 関節の疾患

 
 

肩関節部

 
 
創傷、挫傷をうけやすい。時には大きな切創、小さな刺創などが発生します。
 
 
また肩関節を中心とした種々の疾患によっておこる肩跛行、あるいは胸前部の胸腫の原因の一つに、肩関節部の挫傷があります。
 
 
挫傷により血腫を生じ、外力が強ければ捻挫、脱臼あるいは肩関節炎に移行します。
 
 
挫傷がまた関節周囲におよべば、結節間粘液嚢炎や肩胛上神経麻痺をおこすことがあります。この部は筋肉によって深くおおわれているため、診断の確定が困難なことが多い。
 
 
X線検査などにより診断を進めなければなりません。
 
 

肘関節部

 
 
肘関節部の挫傷、刺創などは、関節をおおう軟部組織がうすいため、関節に直接損傷を与えやすく、時に肘関節炎を継発することがあり、特に関節透創は、化膿性関節炎にしばしば移行します。
 
 
外力が強ければ脱臼をおこします(犬)。
 
 
関節後面の肘頭部は挫傷をうけやすい。馬では、牛臥癖の場合、また種々の家畜では硬い床面によって発生します。多くは肘頭部皮下の粘液嚢が発炎します(肘腫Capped Elbow)。
 
 

手関節部

 
 
一般には衝突、打撲、蹴られる、あるいは転倒に原因して、馬や牛にしばしば挫傷、挫創として発生します。普通腕関節(前膝)の前面に多発しますが、交突によって関節の内側に発生することがあります。
 
 
牛では堅い床で起臥し、あるいは起立の際に飼槽に前膝をぶつけて発生します。
 
 
創傷、皮下出血、腫脹、跛行など認め、皮下粘液嚢炎(膝瘤)、腕関節炎を継発することがあります。一般の創傷、挫傷に対する処置を行いますが、継発症に注意することが大切です。
 
 

冠膝 broken knees or blemished knees

 
 
馬が運動中、前肢がつまずいて転倒し、前膝を地面に激突して生じた腕関節前面の損傷を冠膝といいます。一般に挫傷あるいは挫創が生じます。
 
 
彎膝・突球などの不正肢勢、疲労、重荷の輓曵、不平坦地の運などによって発しやすい。また騎手や馭者の未熟、鞍傷馬または跛行馬の騎乗なども誘因となります。
 
 

症状

 
 
軽度の場合には、単に皮膚の擦過傷を発し、また皮下出血、浮腫にとどまる。この場合、一般に跛行は明瞭ではない。
 
 
しかし、腕関節の前面は皮下に筋層がなく、弾力のある軟部組織に乏しいため、激突を受ければ容易に皮膚の挫傷を生じ、また皮下組織、腱、靭帯、関節包などの軟部組織、さらに骨膜、骨に達する損傷を生じます。
 
 
跛行は次第に明瞭となります。
 
 
主に伸腱が損傷されれば懸跛を呈し、重度の冠膝(腱の損傷、手根骨骨折)では、患肢はまったく負重できず、重度の跛行を示します(三脚歩様)。
 
 
創は多くは横創を呈し、その下縁の皮膚は、皮下組織から遊離してポケット状になることが多い。また挫滅した皮膚、軟部組織は壊死をきたす。
 
 
関節炎を誘発しやすく、その場合は跛行は著明となり、支跛を呈します。
 
 
多くは不潔創であるので、感染をおこしやすく、軽度の損傷の場合でも、感染がおこればフレグモーネを併発し、腕関節部は腫脹、増温して跛行します。
 
 
損傷が関節腔に達すると(関節透創)、関節の伸展に際して透明な滑液が流出し、また創面から感染して、化膿性関節炎となることが多い(重度の跛行)。
 
 
この場合は予後は不良となり、また骨が損傷したときは、骨瘤が形成され、あるいは関節強直をきたします。
 
 
関節腔内に損傷がおよばないかぎり、予後は一般に良好ですが、治癒後患部に白毛または瘢痕(冠膝痕)をのこし、馬の価値を著しく減じます。
 
 
また冠膝を再三反復すれば、皮膚は肥厚し、脱毛、胼胝状となり、冠膝痕は著明となります。
 
 

治療法

 
 
冠膝は不潔創として発するので、まず創の清拭および消毒に重点をおく必要があります。軽度のものは、消毒薬にて十分消毒し、ヨードチンキを塗布します。
 
 
皮膚欠損創では、まず創面周囲を剪毛あるいは剃毛し、創内の不潔物を取り除く。
 
 
次いで挫滅壊死した軟部組織を除去します。さらに骨膜や骨間靭帯の損傷された部分を丁寧に掻爬します。伸筋の腱はできるだけ温存します。
 
 
関節透創では、みだりに深子を挿入することをさけ、なるべく無菌的に処置するよう心がけます。創面の整理後、消毒薬液にて洗浄し、あるいは防腐包帯をほどこし、また化学療法を行います。
 
 
この部は腱、靭帯が縦横にはしるため、ややもすれば創液の排出が妨げられるので注意が必要です。特にポケット状の創では、V字型切開などにより創形を整理した方が良い場合があります。滲出液減少後は良性肉芽の発生をうながします。肉芽発生をみたならば、軟膏療法に移ります。
 
 
関節腔内に損傷がおよんだ場合には、関節の動揺をさけ、極力関節炎防止につとめます。なお、創面には、一般に縫合を行いません。
 
 
それは腕関節の屈曲によって、縫合糸が切断され、あるいは縫合糸によって、皮膚が破れるからです。

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