骨折の予後については、治癒に影響を与えるさまざまの要因をよく検討して、総合的に判断することが要求されます。
局所および全身の状況について外科的、内科的に検討することはもちろんですが、家畜では経済的側面を含む現実的な考慮もまた欠くことができません。
局所的要因
骨幹は、海綿質構造が乏しいため、その部の骨折は、骨幹端、骨端の骨折よりも治癒が遅れます。
複雑骨折、破砕骨折は、単純なタイプの骨折よりも治癒に時間がかかります。
牛の長骨の骨折は粉砕骨折になる傾向があります。
大動物の四肢の骨折で完全治癒をうるには、負重の関係で多大の困難がありますが、それでも中手骨、中足骨、指(趾)骨の骨折は、手関節または足関節より近位の骨の骨折よりは診断、治療とも、より確実に行うことができます。
また脊椎の骨折は脊髄に、頭骨の骨折は脳に損傷を与えて、予後不良となることが多い。
局所の血液循環障害および感染は治癒を遅らせる。
応急的に副子を装着するなどの処置をほどこすことなく放置された骨折では、軟部組織の活性が失われ、また単純骨折が複雑骨折に転化する危険があります。
手術の反復、不完全な整復、強固でない固定あるいは固定の中断は、治癒を遅らせます。
四肢では、一般に後肢よりも前肢の骨折のほうが処置が容易で、大動物でもギプス包帯や副子の装着に耐えやすい。
全身的要因
非常に幼若な動物では、2週間で骨性癒合をみることがありますが、年をとった動物では3~6ヵ月かかります。
哺乳期、離乳期の子牛、子馬は、臥てすごす時間が長いので、患部の安静が保たれ、仮骨形成が早く開始され、かつその完了もはやい。
しかし子馬はとびはねることが欠点となります。
老齢の動物は骨の修復、再生が遅く、その長い治療期間中に種々の合併症が生じやすいため、予後不良のことが多い。
全身性疾患による削痩、栄養不良などの動物では治癒が遅れます。
骨折が生じた動物の輸送は、ショックを発生させ、あるいは悪化させる危険があります。また、生命維持に重要な臓器の損傷や重度の感染の合併は生命を脅かす。
