肘腫について
肘腫は馬にしばしば発し、また犬にも見られます。
肘頭にある皮下粘液嚢の炎症で、つねに粘液嚢周囲炎および周囲組織の肥厚を伴います。
原因:
肘頭に対する挫傷の反復あるいは圧迫の持続が主な原因です。
すなわち、前肢を折り曲げて伏臥する場合に、馬では長い鉄尾端が肘頭をたびたび打撲して発します。しかし、往々蹄鉄を装着していないものに認められることもあります。
また硬い厩床が誘因となることもあります。
犬ではもっぱら硬い床に伏臥することによる持続的な圧迫が原因となります。
時には感染病の経過中に感染菌の侵入をうけて発することもあります。
症状:
本症は慢性の経過をたどるのが普通で、粘液嚢壁やその周囲組織の肥厚をきたし、さまざまの大きさの軟らかい腫瘤を形成します。
ふつう無痛で跛行を伴いません。
しかし、時には急性あるいは化膿性炎の症状を呈し、肘頭部に熱感があり、特に後者では広範囲の浮腫を伴ったび漫性の帯痛性腫脹を生じ、著しい跛行を現す。
なお化膿性の病機が進めば、ついには自潰排膿して瘻孔を形成することがあります。
治療法:
鉄尾を短切し、または蹄鉄を除去し、パッドpadを工夫して肘頭を保護します。
また堅い厩床には十分な敷藁や褥布をしく。
急性の帯痛性炎症の場合には、数日間冷罨法を行う。
慢性無痛のものは、特に処置を要しないが、腫瘤が大きくて外観を損なう場合には、無菌的に内容を穿刺吸引し、あとに少量のヨードチンキ、ルゴール液あるいは5%硫酸銅溶液を注入して腐蝕させる。
発生後長時間を経過して硬い線維嚢状となった腫瘤は、全組織を摘出します。

