PR

胸骨柄粘液嚢炎・結節間粘液嚢炎 ~ 輓馬に発する挫傷性疾患

胸骨柄粘液嚢炎 腱鞘および粘液嚢の疾患

 
 

胸骨柄粘液嚢炎(inflammation of the presternum bursa)

 
 
本症は、結節間粘液嚢炎とほぼ同様の原因によって、輓馬に発する挫傷性疾患です。
 
 
胸骨柄粘液嚢は、肩甲関節の高さにおいて胸骨柄manubrium sterni or presternumの両側、頸皮筋M.cutaneus colliの起始部上に存在し、中隔により左右に分かれています。
 
 
挫傷性の場合は、胸骨柄の前面の腫脹にはじまり、腫瘤を形成して慢性経過をとる。
 
 
頸の上下運動を軽度に障害する程度で、跛行はおこらない。
 
 
化膿性粘液嚢炎では、局所の熱痛は著明となり、膿瘍は一般に波動を呈して自潰しやすい。
 
 
治療法は結節間粘液嚢炎に準じて行います。
 
 

結節間粘液嚢炎(inflammation of bursa intertubercularis, bursitis intertuber cularis)

 
 
結節間粘液嚢は上腕二頭筋と上腕骨の結節間溝との間にある粘液嚢です。
 
 
この粘液嚢と上腕二頭筋は、種々の原因によって急性あるいは慢性の炎症を発し、往々肩跛行として診断されます。
 
 

原因:

 
 
本症は馬、ことに輓馬に多く、主として肩端に加えられた外力、たとえば打撲・衝突・頸環の圧迫などによって発し、また上腕二頭筋の過度の緊張や激伸も誘因となります。
 
 
まれに開放性創傷からの感染、腺疫の転移によることがあります。またブルセラ菌の感染によることがあります。
 
 

症状:

 
 
本症は急性に発することが多いですが、慢性経過をとることもあります。
 
 
急性症では、休息時に患肢を正常位よりやや後方におき蹄尖で接地する。懸跛を呈し、患肢の挙上が十分でなく、また前方提出が困難で、強いて歩行させるとしばしば蹄尖をひきずり、あるいは健肢を支点として跳ぶように歩む。
 
 
しかし後退にはほとんど支障がない。
 
 
他動的に患肢を後方または上方に引っぱると疼痛を訴える。
 
 
肩端直下に限局性の腫脹、増温があり、圧痛をみとめることが多い。慢性症ではこれらはいずれも著明でない。
 
 
軽症の場合には、しばしば症状が舠嚢炎と類似し、また両側性の時は蹄葉炎と間違われやすい。
 
 
化膿性の場合には膿瘍を形成し、または患部創孔から膿汁を排出し、症状が重い。さらに上腕二頭筋にフレグモーネを発し、熱感をみとめることがあり、治癒が長びけば結節間溝に侵蝕を生ずることもあります。
 
 

治療法:

 
 
急性期にはまず患畜を休養させ、1日6~8時間冷水を患部に灌注する(約1週間)。
 
 
これに局所のマッサージと擦剤の塗布を加えると効果がある。もし効果がみえない時は皮膚刺激剤を塗擦します。
 
 
慢性化したものでは、肩端およびその周囲の組織に刺激剤たとえばルゴール液を深く注射することがあります。また焼烙法あるいは串線打膿法を行うことがある。
 
 
化膿性のものには、化学療法を行います。

タイトルとURLをコピーしました