球節後面の屈腱鞘の炎症
球節後面の指屈腱鞘は、中手骨後面の下1/3から球節後面を通過し、第二指骨後面におよんでいます。馬、特に競走馬にこの炎症を見ることが多い。
原因:
過激な運動による腱鞘の激伸によって発生します。しかし原因が明瞭でない場合もあります。
その他まれに挫傷や蹴られて発生することもあり、また初生畜の血行性感染、あるいは馬のパラチフス症、腺疫などに継発することがあります。
症状:
球節の上部後面で浅、深屈腱の両側に限局性の腫脹が突発します。円形あるいは卵円形を呈し、波動性で熱感疼痛を有しています(無菌性漿液性腱鞘炎)。
跛行は必ずしも著明とはかぎりませんが、急性期には負重にあたり疼痛があり、かつまた腕関節以下の屈曲が不十分で、患肢の挙上前進に障害がある。
懸跛を主とした混合跛行です。
本症はしばしば慢性となり、腫瘤をのこすことがありますが、跛行はほとんどみとめられません。
この慢性の漿液性腫瘤を球腱軟腫windgalls or tendinous windgallsと称し、両側あるいは一側に認められます。
往々原因不明のまま、慢性に徐々に発生することもあります。
化膿性の腱鞘炎は往々、外傷性の開放創や感染病の結果継発されますが、局所の増温、疼痛が著明となり、跛行が重度で、全身症状を伴い発熱する。
前者では創孔より膿性滲出物の排出が見られる。
治療法:
患畜はまず休養させ、はじめ冷罨法、続いて温罨法あるいは巴布法をほどこす。
慢性に移行したものでは、強い皮膚刺激剤の塗擦を行い、あるいは焼烙を試みる。
化膿性のものは注意して患部を切開し、消毒薬にて洗滌の上、防腐包帯をほどこし、化学療法を強力に実施します。

