ブドウ球菌による乳房炎
ブドウ球菌の感染に起因する乳房炎は、ペニシリン療法によって減少した無乳レンサ球菌性乳房炎に代わって、乳房炎の主座を占めるようになりました。
年間を通して発生し、また新しい感染は泌乳期間の特定の時期に限らない。
牛が年をとるにしたがって増加する。接触伝染によって牛から牛へ伝播します。
搾乳器が菌の媒介の役を演じることが指摘されています。
黄色ブドウ球菌は組織侵襲性が強い。
これによっておこされる乳房炎の病変は、菌が生成する有毒な産物(コアグラーゼ、α、β、δトキシン)の型とそれらの組み合わせによって、軽度の実質性炎から、微小膿瘍形成、壊死、瘻管形成、さらにαトキシンによる甚急性壊疽性変化までさまざまです。
ふつうは慢性の、病性が比較的温和なタイプの乳房炎が多いですが、しかし分娩時にときどき急性または亜急性に転化することがあります。
これらは泌乳の最盛期になると非臨床型にかわる。
発症時の乳房の腫脹、黄褐色の分泌物(時に血液が混合する)、乳量減少、そのあと乳房の硬結がみられる。初産牛では乳房の硬結と乳頭管の狭窄が著しい。
黄色ブドウ球菌は、乳房内のミルクと乳房の皮膚上で増殖し、ことに乳頭管口のびらんした皮膚にしばしばコロニーを形成している。
周囲の環境には存在しない。
慢性症では組織の深部に侵入した菌に薬が到達しにくいことと、ペニシリン耐性株が著しく増加したことによって、治療に抵抗する例が、ことに泌乳中の乳房に多い。
ペニシリンとストレプトマイシンの併用あるいは菌の出すペニシリナーゼによって破壊されない合成ペニシリン(たとえばクロキサシリン)を用いて、強力な乳房内注入療法が行われています。
表皮ブドウ球菌は乳頭の皮膚からもっとも多く分離される菌ですが、病原性は弱く、乳房に感染しても軽度の炎症をひきおこすにとどまる。
しかし泌乳期以外の時期に新しく感染をおこすことがあり、非臨床型乳房炎の原因になることがあります。
また未経産牛ではごくふつうに検出される菌で、注目されています。

