浮腫(edema)
乳房の皮下および間質の結合織に多量の液体が貯留すると浮腫が発生する。
正常の牛でも分娩間近かから産褥期にかけて、程度に軽重の差はあるが、浮腫が現れる(生理的浮腫)。しかし、浮腫はまた乳房の機能障害や病的変化を伴うことがあります。
病的変化は分娩と関連することもしないこともあり、また炎症性のことも非炎症性のこともあります。
生理的浮腫(physiologic edema)
牛の乳房の生理的浮腫は早くも分娩前3週間からはじまるものがあり、また分娩後4週間までつづくことがある。分娩後のほうが著しい。
しかしまったく浮腫が現れないもの、あるいは分娩後1~2日間しか見られないものも少数ある。浮腫の程度と泌乳量とは関係がない。
また同じ牛でも、分娩後に浮腫が生じる時と生じない時とがあります。
浮腫は左右相称的におこる。
一般に前乳房より後乳房において著しい。乳頭の根元が腫れることが多い。指で押すと陥凹し、痛みはない。時には乳房、外陰部乳鏡udder escutcheonから腹壁下面を胸骨にまでひろがることがあります。しかし全身状態には異常がない。
浮腫は流産、早産のあとでも発生する。初産牛の流産前2~3日の時期に明らかに発現する。また性的に成熟した未経産牛の発情期に出現することがある。
山羊では妊娠末期に発生する浮腫は乳房より後肢に著しい。馬の乳房浮腫はほとんど常に下腹部と後肢の浮腫を伴う。また流産の12~36時間前にも発現する。
また犬では偽妊娠の時に現れる。
生理的浮腫は、以前は乳房の能動的な充血により、あるいは発育した胎児によって骨盤内の太い血管または乳静脈の腹腔進入口が圧迫されておこる受動的な静脈のうっ血に起因すると考えられました。
しかし最近では、乳房内における毛細血管からの漏出transudationの増加と組織液の還流障害による物理化学的変化と考えられています。
すなわち、毛細血管内の静水圧が上昇して水とNaが多量に漏出し、アルブミン含量が減少して血漿の膠質滲透圧が低下するため、水がさらに血管外に出る。
一方、組織液の滲透圧と膠質滲透圧は上昇して水を招き寄せる。
その他に、血液酸素不足、pHの変化、アルドステロン・エストロジェン・抗利尿ホルモンなどの生産過剰なども関係するといわれています。

