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円盤結腸の捻転・前腸間膜動脈の塞栓・直腸脱および”しぶり”

円盤結腸の捻転・前腸間膜動脈の塞栓・直腸脱および”しぶり” 腸の疾患

 
 

円盤結腸の捻転(torsion of the spiral colon)

 
 
まれに牛に発生する。腸閉塞の一つです。円盤結腸が回盲結口の近くで捻転し、そのため、円盤結腸内にガスが充満し著しく膨大する。
 
 
すなわち、いくつかの膨脹したループにふれ、またこれは右膁部において外からみることができる。発生は急であって、食欲廃絶、排糞停止がおこる。
 
 
直腸検査にて膨大な腸にふれる。回腸も捻転に巻き込まれ、回腸末端がうっ血のため変色する。治療法としては、右膁部切開を行い、結腸のガスを排除して捻転を整復する。
 
 

前腸間膜動脈の塞栓(embolicm of A. mesenterica cranialis)

 
 
腸間膜の血管の塞栓は動脈に多く静脈に少ない。動脈塞栓では、閉塞血管の領域にある腸管は血行障害により貧血、酸素欠乏に陥り、ついには壊死する。
 
 
この症状はきわめて腸閉塞に類似し、機能的閉塞とも考えられます。
 
 
馬の疝痛の一つである血塞疝colica thrombo-embolicaは、前腸間膜動脈血栓症(Stron-gylus vulgarisの寄生による)の血栓の一部が崩壊して、下結腸動脈に塞栓をおこして発生する。
 
 

直腸脱および”しぶり”(prolapse of the rectum and tenesmus(straining))

 
 
直腸の一部または大部分が翻転して肛門から脱出した場合を直腸脱といいます。往々同時に直腸の腹腔部が、その骨盤部に重積して肛門から脱出していることがある(重積加直腸脱)。
 
 
また脱出した直腸の内腔に小腸蹄系が転位して、直腸ヘルニアrectal herniaといわれる状態を呈することがあります。本症は幼犬、幼豚、馬および牛に発することが多い。
 
 
(ⅰ)原因:直腸脱の原因としては、肛門括約筋の繊弱および直腸周囲結合織の弛緩(多くは栄養不良による)が本症に対する素因と考えられる(幼畜)。
 
 
直接の原因は下痢の持続(犬のジステンパー、幼犬、幼豚の腸炎、峻下剤の投与)、直腸炎、肛門の刺激、吊起帯・疝痛・横臥・卵巣摘出手術後(馬)・難産・分娩後腟脱による腹圧の増加などがあります。
 
 
また腸変位をおこした犬が、さかんに努責しておきることもあります。しかし、馬では原因らしいものがまったく見当たらないこともある。
 
 
(ⅱ)症状:円筒状あるいはソーセージ様の腫脹物が肛門から突き出して、粘液を被り、末端中央に開孔を有する。
 
 
通常は下方に彎曲しますが、腸重積がある時には、逆に上方に彎曲していることがある。動物はさかんに努責し排糞動作を行うが、多くは排糞をみない。
 
 
すなわち、”しぶり”の状態を呈する。
 
 
脱出後間もない時は、粘膜の変化は軽微でわずかにうっ血と浮腫を認めるにすぎないが、時間が経過した例では粘膜に剥離、亀裂、潰瘍、出血、線維性被苔を認め、また外周が壊死におちいることがある。
 
 
重症の場合には、直腸の脱出部全体が壊疽におちいり、全身感染症を発することがある。また、腹膜炎あるいは小腸脱出をきたすことも稀ではない。
 
 
馬の分娩後、15cmまたはそれ以上にわたって直腸が脱出し、同時に直腸に重積を併発した例では、結腸間膜が断裂して血液循環が遮断され、その結果肛門から60~70cm頭側まで腸が壊死におちいったと報告されている。
 
 
(ⅲ)予後:発症後の時間経過が短く、かつ脱出が小さく、ことに粘膜の脱出のみに止まるものでは予後良好ですが、脱出部の長いものあるいは著明な変状を呈するものは、予後不良です。
 
 
(ⅳ)治療法:初期の小規模の脱出は、収斂剤で洗浄した後整復することができる。脱出がやや大きい場合には、まずマッサージあるいは圧迫も加えて脱出部を縮小させてから整復を試みる。
 
 
再発予防のためには、局所麻酔薬を浸したガーゼを直腸に挿入し、または硬膜外麻酔をほどこしたのち、肛門括約筋をさけて肛門に一時的に巾着縫合をほどこす。
 
 
この場合縫合糸は蝶結びにして、毎日糞塊を手で排除する時にゆるめることができるようにする。この縫合は4日後には除去する。なお粗飼料の投与をひかえ、必要に応じて鎮静剤を投与する。
 
 
脱出部の整復が不可能であるか、脱出が反復される場合、あるいは粘膜が広範囲に壊死におちいっている時には、脱出部を除去する以外に治療法がない。
 
 
すなわち、脱出部を切断除去して健康な断端を縫合するのですが、時に縫合部が離開して内出血を招くことがある。脱出した腸の粘膜のみを切除して整復する方法も報告されています。
 
 
小動物および幼豚では、硬質ゴム管、ビニール管、竹筒を挿入し、肛門に近接して強く結紮すると、漿膜がその部で癒着し脱出部を壊死して脱落する。
 
 
また開腹し、腹腔から腸管を牽引整復したのち、腸間膜付着部に糸を通し、これを腹腔壁に縫着して再発を防止する方法も行われています。
 
 
いずれにしても脱出の原因除去につとめる。また手術後に、時には直腸狭窄がおきるので留意すべきです。
 
 
”しぶり”(裏急後重):頻発する排糞動作をいい、疼痛を伴い努責するも、多くは排糞が認められない。時には少量の糞塊・下痢便などを排出する。
 
 
直腸脱、胃腸炎、腸の腫瘍、腸閉塞などの際に現れる。直腸粘膜が過敏状態となり、頻繁な刺激により排糞反射が亢進したために発現すると考えられます。

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