閉塞に伴う諸種の変化は、ほぼ機械的腸閉塞と同様です。
ただ閉塞の原因が腸管の痙攣または麻痺によるものであって、機械的腸閉塞にも部分的には合併する場合もある。
症状
腸閉塞の種類、程度により、また動物の種類により症状は異なるが、主なる臨床所見は腹痛、腹部膨満、嘔吐、採食・飲水減少~廃絶、排糞減少~停止です。
急性型では、ショック症状が現れ、亜急性~慢性のものでは末期虚脱に陥る。
馬:腸閉塞がおこると、急激な腹痛が突然に発生し(馬の疝痛equine colic)、馬は転々とし、前掻きし、発汗がみられ、呼吸が早く深くなる。
脈拍数が増加し(100以上)、脈拍は弱くなる。
直腸検査を行うと、直腸内に糞がなく、腸管はガスで膨満しているが、外観上は明瞭な腹部膨満の兆候は欠如する。
ときどきガスが移動する金属性の音が聞こえる以外は腸の音は聞こえない。
粘膜・結膜のうっ血、体温の低下がみられる。馬は横臥し、普通24時間以内に死亡する。
牛:諸種の原因によって発生する急性腸閉塞の症状は、ほとんど類似している。牛では馬と異なり、はげしい症状を示さず、普通24時間以内で死亡するようなことはない。
初期の発作の際に、急性の腹痛が現れ、腹をけり、不安そうに後肢を踏み変え、背をかがめ、呻き、あるいは大声で鳴く。疼痛は発作的で、短い一定の間隔で反復し、牛はときどき転々とする。
この急性腹痛の時期は、普通8~12時間たつといったん消失する。この間、採食飲水は停止し、腹部は膨満し、排糞はほとんどみられず、体温・呼吸は比較的変化がないが、脈拍数は血管の閉塞がおこっているかいないかによって正常か、または増加する。
直腸検査を行うと、直腸は空虚で、ただ濃厚粘稠な粘液か濃厚な暗赤色の粘稠物が存在する。時には血液をみとめるが、重積の時は明らかであり、他の閉塞では量は少ない。
ショックの兆候は明らかですが、普通は重篤ではない。
急性の腹痛がいったん消失すると、その後、牛は元気沈衰し、食欲がなく排糞もない。血液循環、体温、呼吸は特に異常はないが、第一胃および腸の運動は、減少あるいは消失する。この時期には、直腸検査を行うことが大切です。
直腸は空虚で、粘液あるいはタール状の滲出物があり、腕を挿入すると疼痛があり、激しく努責し、腸の蠕動がおこる。腸管の膨脹は馬におけるほど明瞭ではないが、結腸や盲腸に異常がある時は明らかです。
小腸の重積あるいは捻転がある時は、患部は大体において腹腔の右下方に位置する。重積の時は長楕円形のソーセージ形の塊があり、触診に抵抗を感ずる。
またガスの貯留した腸のループに触れることもあります。捻転の時には、ループが小さく軟らかく移動性がある。多くの場合に、緊張した腸間膜の襞がそのループまで達しているのを触知する。
初期にはことに、このループを触診する時に疼痛がある。
このような状態が6~8日間つづき、その間、徐々に中等度の腹部膨満と重度の毒血症と脈拍数の増加が出現し、ついに起立不能に陥り、8~10日後に死亡する。
羊:腹部膨満、排糞停止、食欲廃絶は明らかですが、腹痛症状は牛より不明瞭です。
豚:腹部膨満、食欲廃絶が明らかにみられる。排糞は減少ないし廃絶し、粘液、時には血液がみられる。豚はついに虚脱に陥る。
子豚の結腸末端に閉塞がおこると、腹部の膨満は特に著明で、3~6日で死ぬことが多い。
犬:小腸口側部の完全閉塞の際の症状は、胃内異物停滞の時に似ているが、さらに長く続く。嘔吐は食後短時間におこり、急速に脱水状態に陥る。
腸の運動は通常途絶し、十二指腸乳頭部に閉塞がある時は、黄疸がみられる。ビリルビンの尿中含量が高まり、腹膜炎がある時はネフローゼの兆候および血中白血球数の増加がみられ、血液濃縮がおこる。
前軀を高くし、腹部を触診すると疼痛があるが、患部を判定することはむずかしい。X線検査が有用です。必要に応じて造影剤を投与する。
不完全閉塞の時は、症状は完全閉塞の時より軽く、徐々に進行する絞扼または腫瘍による場合などでは、症状は次第に重くなる。
回腸またはそれより尾側の閉塞の際には、嘔吐はおこるが、食物はやや長く胃内に停滞し、脱水もやや軽い。異物あるいは重積による重度の閉塞の時には、少量の血便が排泄される。
触診によって異物または重積部に触れる時には疼痛がある。閉塞部より口側の小腸には、ガスまたは食糜が充満している。閉塞が重度の時は、尿中にインジカンが検出され、毒血症のためネフローゼの症候が現れる。
血液像には著変がない。X線検査が有効です。
外傷または重度の感染症に継発する麻痺性腸閉塞では、腸管アトニーに陥り、ガスが充満する。細密検査によって、血液濃縮と乏尿が明らかな場合は、脱水が進行していることを示し、壊疽が発生する時は、血中NPNが高い。
広範な血管閉塞がおこるときは、腹腔穿刺によって血球漿液が得られる。

