眼瞼(eyelid)
眼瞼の異常は一般に視診によって、大体の診断がつけられることが多いので、注意深く観察する必要があります。まず50cm内外の距離をおいて眼の全景を観察し、眼瞼皮膚の損傷、発赤、腫脹、浮腫、腫瘍あるいは湿疹の有無を調べる。
次いで瞼裂の大小、形状、眼瞼の内・外反の有無、睫毛の状態をみる。結膜炎、眼瞼炎その他が原因となって羞明、疼痛があれば、瞼裂は一般に狭小となり、時には閉鎖し、また流涙lacrimationをみる。
あるいは炎症性の腫脹をみることもある。
また瞼裂の拡大は、緑内障、水眼、眼瞼損傷時にみられる。眼瞼の腫脹は出血、浮腫、炎症の際に発生しますが、特に両眼に浮腫が存在する時には、全身性の疾患を疑う必要があります。
月盲症の末期などにおいて眼球が萎縮した場合には、眼球が陥没し、特に上眼瞼に異常皺襞が現れる。また涙液はその性状により種々な意義を持ち、カタル性結膜炎、異物、涙管閉鎖および各種の疼痛性疾患の時には漿液様となり、化膿性の角膜炎、結膜炎の時には膿様となり、眼球および眼瞼の損傷時には血様となる。
涙液が粘液様濃厚となり、内眥などに付着したものを眼脂dischargeといいます。
結膜(conjunctiva))
結膜を検査するためには、馬においては右母指を下眼瞼縁に、同じく示指を上眼瞼縁に当て、眼球を軽く圧すように両指を開くと、眼瞼が反転して、眼瞼結膜と瞬膜を十分に観察することが出来ます。
牛においても同様にして眼瞼結膜の検査を実施できますが、特に眼球結膜の観察には、両手で角を保持して頭部を後下方に屈曲させると、眼を見開いて眼球結膜面を大きく露出する。
犬においては人と同様の結膜反転法を行う。すなわち左手の母指と示指の間に上(下)眼瞼をしっかり保持し、示指で裏を押し返すようにして反転する。
さらに右手を介添えにして反転すると、一層広く結膜面を見ることができます。同様の操作によって瞬膜を観察することができます。
結膜は眼瞼結膜と眼球結膜それぞれの、色沢、血行、充出血、混濁、腫脹、濾胞の有無などについて綿密に観察する。結膜の血行は、2通りに区分されます。すなわち
②角膜周縁から来る前毛様体動脈Aa. ciliares anterioresです。
①の充血は主として急性結膜炎の徴候であり、眼球結膜における②の充血(毛様充血injectio ciliaris)は主として虹彩炎、毛様体炎などの際にみられる。
また特殊伝染病、中毒の際には、結膜下出血をみることがある。結膜の蒼白は外傷、内出血などの際に、また栄養低下、慢性疾患、黄疸などの全身性疾患の一症候として現れる。
結膜の腫脹、混濁とは、結膜の炎症滲出物の浸潤によって結膜が淡赤色、表面粗糙感を呈して腫脹するので、急性結膜炎の特徴です。また結膜面に粟粒大の透明小結節をみることがある。
すなわち濾胞の腫大したもので、生理的には認められないが、犬において内眥、瞬膜にみられる。次に涙器に関しては、涙液の排泄障害がしばしばみられ、多量の眼脂を付着し、また涙の流路に脱毛、皮膚炎を発することがあります。
これらは涙管の狭窄、閉塞、寄生虫の涙管内寄生によって発する。まれに涙嚢炎を発するものがあり、その部の潮紅、腫脹、疼痛をみ、種々の滲出物を漏らすことがあります。
鼻涙管の排泄異常をみるためには、大・小動物に応じて、それぞれ適宣の大きさの細かいカテーテルを涙点に挿入し、生理食塩液を注入して、その閉塞状態をみることができる。
また涙分泌の異常についてはShirmer tear testによって容易にみることができる。

