飼料効率と飼料要求率(feed efficiency and feed conversion ratio)
飼料効率とは飼料1kgの給与によって得られた増加体重のkg数であり、飼料要求率とは体重1kgが増加するのに要した給与飼料のkg数です。
従ってどちらを用いても意義は同じですが、要求率は体重増加が減少すれば無限大に近づく。現在の畜産での飼料要求率はブロイラーで2、豚では3~4ですが最も優れた系統で最も優れた飼養法では3を割っている。牛では6前後です。
飼料効率改善の限度
無菌動物は一般に飼料効率が高いが、通常動物と無菌動物との差が抗菌性薬物の飼料添加によって改善できる限度だと考えられている。
この値はブロイラーで5%、豚や子牛で10%ですが、反芻動物では20%を越すと推定されています。
一般には家畜の飼育環境の衛生状態が悪いほど改善効果が高い。しかし改善される絶対量は衛生状態とは無関係に一定です。
ブロイラー
鶏での研究では回腸内のウエルシュ菌(Clostridium perfringens, グラム陽性嫌気性菌)の発育と飼料効率の低下率に正の相関がある。
回腸におけるウエルシュ菌の発育は抗菌性薬物を飼料に低濃度添加することによって抑制される。従って抗菌性薬物はこの機序によって飼料効率改善効果を現すと主張する意見が強い。
肉用豚
子豚の胃腸管の各部位にカニューレを付けて内容を随時採取できるようにし、抗菌性薬物を飼料に添加した場合を対照と比較した実験では、下部小腸(回腸)だけに内容物の変化が認められる。
即ち抗菌性薬物の投与によって回腸の乳酸、揮発性酸、アンモニアの生産量が低下する。これらの物質は細菌によって生産されるが回腸以下では吸収されない。
従って抗菌性薬物は回腸における細菌の代謝を阻害することによって飼料効率を高めると考えられています。豚や鶏のように穀物が多給される家畜の回腸の細菌は主としてグラム陽性菌であり、乳酸生産菌が圧倒的に多い。
さらにグラム陽性菌だけに働く抗菌性薬物の飼料効率改善効果は高いが、グラム陰性菌だけに働く薬物の改善効果は不確実です。
鶏や豚における飼料効率改善のための抗菌性薬物の飼料添加は1960年頃から普及しましたが、1980年頃に以上のような機序が分ってきたので、新しい判断規準に従って飼料添加薬物を選択し直している。
即ち、①グラム陽性菌だけに有効で、②代謝を阻害するだけでよいから静菌的であって殺菌性がなく、③消化管からの吸収性が悪くて体内に残留せず、④Rプラスミド性の耐性を生じないような薬物が適切です。
また、⑤医薬品として用いていない事も望ましい条件です。
反芻動物
モネンシンなどのポリエーテル系抗生物質をルーメンが活動し始める4ヶ月齢以上の若齢反芻動物の飼料に添加して投与すると、飼料効率改善効果が現れる。
この改善効果は10~20%です。
モネンシンの投与によってルーメン内のメタンガス発生が減少し、プロピオン酸の生産が高まる。反芻動物ではメタンガスは利用されることなく排出されるが、プロピオン酸は吸収されて利用されるので飼料効率が改善されると説明されている。
モネンシンの使用によってルーメン内の微生物スペクトルとか菌数には変化が認められない。
