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去痰薬(expectorants) ~ 去痰薬は粘稠性粘液の粘性を下げる物質

ヨウ化カリウム 呼吸器循環・体液平衡

 
 
咳の原因のうちでは痰(粘稠性粘液)の貯留が最も多く、気管・気管支炎で発生し易い。
 
 
気管支の粘液が粘稠になると粘膜上皮の線毛運動では咽頭側に輸送できなくなり、咳反射の刺激になる。
 
 
去痰薬は粘稠性粘液の粘性を下げる物質であり、①中枢性または末梢性に気管支の水分分泌を増進して粘液を薄める薬物と、②粘液の粘性成分に直接働いてその粘性を低下させる薬物とがある。
 
 

ヨウ化カリウム(potassium iodide)

 
 
ヨウ化カリウムの経口投与によって気管支の水分分泌が倍以上になる。
 
 
迷走神経切断によって反応しなくなるので胃腸管粘膜刺激による反射性分泌亢進だと考えられている。
 
 

ニヨウ化水素酸エチレンジアミン(ethylenediamine dihydroiodide)

 
 
反芻動物のヨウ素補給に用いる化合物ですが、豚や鶏に去痰作用を示す。
 
 
消化管粘膜刺激のほか、吸収されて気管支分泌液へ移行する時の分泌細胞刺激によって働く。
 
 
豚と鶏のマイコプラズマ性気管支炎に対して飼料添加剤として用いる。
 
 
急性気管支肺炎への適用は危険です。
 
 

グアイフェネシン(guaifenesin)

 
 
中枢性筋弛緩薬のグアイフェネシンの小用量には去痰作用がある。
 
 
分泌促進よりはむしろ粘液の粘稠性低下作用によって働くといわれている。経口でも注射でも有効です。
 
 
家畜における使用経験も豊富で、馬・反芻動物・豚・小動物に用いられています。
 
 

アセチルシステイン(acetylcysteine)

 
 
アセチルシステインは痰に接触するとその粘性を低下させる。
 
 
粘液のムコ多糖類のS-S結合の化学的還元によって働く。
 
 
去痰の目的には水溶性からエアロゾルを発生させて吸入させる。
 
 
この薬物は医学領域でも小動物臨床でも汎用されていますが、精密な比較試験ではその有効性に疑問が持たれている。
 
 
痰には、①高い粘弾性と②強い組織粘着性があり、気管支粘膜に対しては粘着性の有害性が高い。
 
 
アセチルシステインは粘弾性を低下させるが粘着性に対する影響は少ないので、期待されるほどの有効性はないと主張されている。
 
 

その他の去痰薬

 
 
塩化アンモニウムは人体用の去痰薬のうちでは最も安価であり、過去に家畜に対しても多く用いられてきました。
 
 
しかし家畜に対する有効性・安全性に疑問があるために用いられなくなりました。
 
 
その他の去痰薬には各種のサポニン含有生薬、アポモルヒネ、エメチン、トコン、吐酒石(酒石酸カリウムアンチモン)などが挙げられますが、いずれも家畜に対しては無効か有効性不明の薬物です。
 
 
例えばトコンが気管支分泌促進作用を示すのはヒトとラットだけで、犬猫では無効であり、ウサギで逆に分泌を抑制する。
 
 

鎮咳・去痰薬の臨床応用

鎮咳去痰薬はどの薬物も作用時間が短いので、1日に3~6回の投与が必要であるから、一般に経口錠剤が用いられる。

一般に眠っている間は咳が出にくい。

したがって犬猫の頑固な咳に対してフェノバルビタールとエフェドリンを夜間に投与する方法は畜主の安眠を確保するのには有効です。

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