鎮咳薬・去痰薬
咳は気管・気管支内の異物を排出する反射運動です。
気管支内の刺激受容体は分岐部分に多く分布しており、この受容体が刺激されると延髄の咳中枢が興奮して咳反射が成立する。
遠心路としては呼吸筋への経路が重要です。
咳の運動は次の過程で進行する。
①急速な深吸息によって肺に大容量の空気を取込んで、直ちに声門を閉鎖する。
②横隔膜を収縮したままの状態で腹壁・胸壁の筋が収縮し、胸腔内圧を高める。同時に気管支を収縮して気道内圧を高める。
この時の気道内圧は動脈圧より高くなる。
③急に声門を開き、さらに腹壁筋の収縮によって横隔膜を胸腔内に押し込む。これらによって気管内の空気は急激に体外に排出される。
この時の気流は極めて速く、異物が気管から排出される。
元来、咳は防御反応ではあるが、頑固な咳は呼吸循環系に対して強い抑制作用を及ぼす。従って治療の対象になる有害症状です。
コデイン(codeine)
フェナントレン系(モルヒネ系)あへんアルカロイドのうちで最も強い鎮咳作用を持つ。
咳中枢への直接作用によって働く。
犬に対しては経口でも皮下注でも有効ですが、消失速度が速いので1日に3~4回の投与が必要です。
コデインは麻薬に指定されていますが、鎮咳に用いる10mgの錠剤は麻薬指定からはずされています。
デキストロメトルファン(dextromethorphan)
鎮咳作用の強さ、作用機序、有効時間はコデインに類似する。
コデインに比較すると中枢抑制作用や消化器障害の発現頻度が低い。
犬における使用経験は少ないが、コデインと同程度の有効性があり、また猫にも使用できる。
ノスカピン(noscapine)
パパべリンと同じくイソキノリン系のあへんアルカロイドであり、フェナントレン系と異なって鎮痛作用がない。
習慣性がないので麻薬には指定されてない。
強力な鎮咳薬であり、咳中枢抑制作用と気管支弛緩作用によって咳反射を抑制する。
動物に於ける使用経験は殆どない。
エフェドリン、アミノフィリン、クレンブテロールが鎮咳作用を期待して用いられる。
咳反射を止める作用はなく、気管支拡張作用によって反射運動の強さを弱めるだけです。

