酸素は吸入麻酔に用いるだけでなく、酸素欠乏症の治療にも用いる。
酸素欠乏症は呼吸不全、麻酔薬・オピオイド鎮痛薬の過量投与などによって発症する。
呼吸不全の原因としては①吐物、炎症性滲出物、声門水腫などによる気道狭窄、②左心室不全による肺水腫などが挙げられるが、特に肺水腫は死戦期に起こりやすい病態です。
臨床応用
緊急治療では75~100%の酸素を気管チューブかマスクを通じて短時間使用する。
麻酔事故ではこの方法が蘇生薬投与より有効性が高い。
酸素欠乏症とかその可能性のある症例には30~60%の濃度で用いるが、酸素性無呼吸の起こらないようにCO₂5%混合酸素を用いることが多い。
いずれにせよ、酸素の吸入は原因療法にはならない。
幼弱犬に対しては35%以下の濃度で用いる。
副作用
3週齢以下の犬は酸素欠乏に抵抗性を示すが、逆に酸素の副作用が出易い。
35%以上の濃度を吸入させると網膜を損傷して水晶体後線維増殖症を起こし、失明することがある。
成熟動物では副作用の発現頻度が低いが、成熟犬での試験では80%を12時間以上吸入させると気道刺激作用が現れる。
