エピネフリンは医薬品として利用価値の高い薬物です。
体内動態
水溶性が低く、有機溶媒への溶解性が高い。この性格からは脂質バリアの通過が容易と思われるが、体内での動態は予想とはかなり異なってくる。
●吸収
経口投与すると吸収されるが、腸粘膜と肝で急速に分解されるために利用率は皆無に等しい。皮下注射では血管を収縮させるために吸収が遅い。
筋注では周囲の血管を拡張するので、吸収が速やかであり、汎用投与経路になっている。
●分布
体内での分布性は良い。脳脊髄への分布率は低い
●消失
COMTとMAOによって不活化されて尿中に排泄される。どの動物種でも消失速度は速い。
薬理作用
血圧は初期に上昇し、後に軽度に下降する。
上昇は皮膚や内臓の血管収縮による反応(α₁作用)であり、下降は筋血管の弛緩による反応(β₂作用)です。
心に対しては収縮力を増強するが、心拍数は血圧が上昇した時点に減少する。
この反応は迷走神経性の反射による。
●呼吸器
気管支筋に直接作用して弛緩させる(β₂作用)
●眼
点眼すると瞳孔散大筋を収縮させて散瞳させる(α₁作用)。
●子宮
β₂作用によって弛緩し、α₁作用によって収縮する。
しかし成熟・未成熟、性周期、妊娠時期によって著しく反応が異なるし、動物種差も大きい。
●中枢神経系
薬用量では作用しないが、大用量では興奮作用が認められる。
●代謝
代謝に対する影響は強く、酸素消費が20~30%上昇する。肝や筋でのグリコーゲン分解が促進されて血糖が上昇し、脂肪組織からの脂肪酸遊離も増加する。
臨床応用
●局所止血
粘膜や皮下の止血のために局所に噴霧する。鼻粘膜充血の治療にも用いる
●局所麻酔強化
局所麻酔剤に配合し、麻酔時間を延長させる。
アレルギー性皮膚反応エピネフリンの静注とか局所注射によって消失する。
気管支収縮に対しても静注、吸入が有効です。アナフィラキシーショックでは静注や筋注が有効です。元来この種のショックは腹部血管(動物種によっては肺)に血液が局在するために起きるが、エピネフリンはこの状態を改善する。
アナフィラキシーでの死因になることが多い声門水腫もエピネフリンによって改善される。
このようにアレルギー・アナフィラキシーの各種徴候に対して有効性が高いが、作用時間は短い。しかし他のアドレナリン作動薬には代替可能な薬物がない。
家畜ではワクチン注射時にアナフィラキシーを発症することがあり、エピネフリンが唯一の救急治療薬になっている。
●昇圧
低血圧に対して用いることがあるが、この目的にはフェニレフリンの方が適切です。
