殺虫薬とは有害な節足動物を殺滅するための薬物であり、昆虫駆除薬とダニ駆除薬があります。節足動物の一部は家畜家禽の外部寄生虫(ectoparasites)として皮膚表面や皮内に寄生し、一部は吸血し、一部は疾病を媒介するなどして家畜の生産性に甚大な被害を与える。
またイエバエなどは畜産公害の元凶のように指弾されている。このような状況の為に殺虫薬は動物用医薬品のうちの重要薬剤になっている。
殺虫薬の種類
有機リン系殺虫薬、カルバメート系殺虫薬、ピレスロイド系殺虫薬、その他
●幼虫発育阻害薬
IGR(昆虫幼弱ホルモン、キチン質合成阻害薬)
成虫殺滅薬はダニにも有効ですが、その特異性は化合物によって異なるのでダニに特異性の高い薬物とダニだけに有効な薬物がダニ駆除薬として用いられている。
虫種による薬剤感受性差
昆虫やダニの薬剤感受性は種によって異なりますが、特にダニでは著しい種差がある。
したがってダニ駆除では駆除対象になるダニに感受性の高い殺虫薬を選択する必要がある。
殺虫薬に対する耐性害虫
同一の薬物を連続使用していると、その薬物に強い抵抗性を持つ害虫が現れてくる。このような耐性はイエバエで発生しやすいが、他の害虫でも耐性虫発現の可能性があります。
害虫における薬剤耐性は元来耐性である害虫が生き残るためだといわれています。このような耐性発現機序を選択という。
選択による耐性に対しては薬剤の種類を周期的に変えて対応する方法が優れており、配合剤の使用は好ましくない。
殺虫薬の使用方法
牧野、畜舎の周辺や床などに散布(sprinkle)したり、畜舎内に噴霧(spray)したりする。
この目的には水和剤や乳剤が用いれれる。また、粉剤を散布することもあります。害虫の虫体に直接噴霧する目的には油剤を用いる。
畜体表への応用
水和剤を噴霧することが多い。乳剤に薬浴(dipping)させる方法も用いる。粉剤は噴霧したり、ダストバッグ(dust bag)に用いたりもする。
また油剤の少量を背部に流す方法(ポアオン:pour on)も用いられる。
低毒性で吸収性の良い殺虫薬を経口投与して外部寄生虫に作用させる方法も用いられる。犬猫では殺虫薬入りのシャンプーがあり、またノミやシラミの駆除に首輪も用いられる。
家畜家禽に被害を与える主な害虫
・マダニ
・フタトゲチマダニ
・オウシマダニ
主として牛、犬に寄生、吸血、タイレリア病やバベシア病を媒介
・ワクモ
主として鶏に寄生、吸血、鶏体表と周辺を往来。
・トリサシダニ
主として鶏に寄生、吸血、鶏体表だけで過ごす。
・イヌ毛包虫
犬の毛包に常在、異所寄生で皮膚炎を起こす。
・センコウ疥癬(ヒゼンダニ)
犬、牛、馬、豚の皮下に寄生、穿孔する。
・蜜蜂ヘギイタダニ
蜜蜂の子虫、成虫に寄生する吸体液ダニ、被害大
・アカイエカ
吸血、各種伝染病の媒介
・ニワトリヌカカ
吸血、ロイコチトゾーン症の媒介
・イエバエ
畜産公害、馬胃虫の中間宿主
・サシバエ
牛馬の吸血、伝染病の媒介
・ウシバエ
幼虫が皮下寄生
・ウマバエ
幼虫が胃内寄生
・イヌジラミ
・ブタジラミ
吸血、掻感強い
・ニワトリハジラミ
鶏に寄生、痒感強い
・イヌノミ
吸血、痒感強く時に皮膚炎
・ネコノミ
同上、本邦の犬猫には主としてネコノミが寄生

