多乳頭糸状虫の寄生馬は肩甲部、頸部、き甲部、胸、顔面の皮膚に出血を生じ、いわゆる血汗症となります。出血部に大豆大の腫脹とその周囲に軽い隆起がありboutons hemorragi-quesと呼ばれる。
出血の持続時間は短くて20~30分、平均、2~3時間、まれに12時間も継続します。しかも、数日または数週間後に反復することが多い。
血汗症は夏季の期間に間歇性に発生し、盛夏の候、ことに午前中におおく、summer bleed-ingの名があります。また寒冷期間には出血はみられない。
馬糸状虫は腹腔内に寄生しており、古くは腹膜炎、貧血、削痩などを観察していますが、多くは無症状です。ただ例外的に陰嚢内に寄生して水腫を発生した報告があります。
糸状虫の幼虫が前眼房内に迷入して寄生することがあります。これを混晴虫といいますが、この眼虫の大部分は指状糸状虫の幼虫であり、馬糸状虫の幼虫は、ほんの一部にすぎません。
体長約3cmの幼虫が前眼房水中を泳ぎまわり、しゅう明、角膜混濁、眼房水の混濁を生じ失明をきたすことがあります。
夏癬は北海道、東北地区の産馬に夏季(6~9月)に多発する皮膚炎です。2~3歳馬に多発し、好発部位は頭部、頸部、胸部、き甲、肩甲、腹側です。
症状は掻痒を伴う丘疹様結節の形成であり、続発性病変化として滲出、出血、脱毛、皮膚肥厚を認めます。これらの症状は冬季に消失し、例年再発するのがふつうです。
本症の発症は馬糸状虫のミクロフィラリアに起因すると考えられたが、その後、頸部糸状虫のミクロフィラリアや代謝物質によるといわれ、最近は吸血昆虫によるアレルギー性皮膚炎説が強く主張されています。
網状糸状虫寄生によって、跛行や運動を嫌う様子がみられます。頸部糸状虫寄生では通常は症状が明らかではないが、ときにき甲腫を生じ、瘻管形成と二次感染がみられます。
馬の糸状虫症の予防
中間宿主対策が主です。中間宿主となる昆虫を減少・撲滅するために、畜舎に防虫網を設置し、畜舎周辺の環境を整備し、殺虫剤を定期的に用いて昆虫駆除を行います。

