犬糸状虫寄生犬の多くは症状が明らかでなく、症状をみるのは約39%程度です。本症は初期から末期まで幅広い病態をみる疾患です。
寄生犬の96.1%が該当する最もふつうにみられる病型です。有症率は36.9%で無症状寄生犬が半数以上を占めています。主要症状は、元気減少、食欲不振、栄養低下、被毛不良、疲労、貧血、黄疸、咳、呼吸困難、失神、浮腫、腹水、水胸などです。
初期症状は咳が多く、病期の進行によって発現する症状もおおく、程度も強くなります。
病期の進んだものでは頻脈、不整脈、呼吸数増加、三尖弁口部に最強点をもつ収縮期心内雑音などの所見がみられ、また、血液検査で赤血球、血色素量の減少、白血球数の増加、肝臓、腎臓、心臓の障害を示す所見があり、心電図検査では刺激生成・伝導の異常、右心房室の肥大拡張所見が、X線検査では右心拡張、主肺動脈拡張、末梢肺動脈の拡張、塞栓、曲折などの所見が認められます。
寄生犬の3.9%に認められます。発症前の症状は明らかではなく、咳をみる程度です。突然に発症し、元気・食欲廃絶し、可視粘膜蒼白、血色素尿、呼吸頻数、呼吸困難、頻脈、不整脈、三尖弁口部における強い収縮期雑音、陽性頚静脈拍動などがおもな症状です。
赤血球脆弱性の亢進がみられ、他の血液、心電図、心・肺X線の所見は慢性犬糸状虫症の重篤例と同様です。放置すれば多くは予後不良となります。
左右短絡のある心奇形によって虫体が右心から左心に移行し、さらに末梢の動脈血管に流入して動脈塞栓を生じて発症します。
症状は塞栓部位と程度によって異なりますが、頻度の高い後軀・後肢の動脈塞栓では跛行、起立不能、後軀麻痺、後肢の皮温低下と知覚異常や壊死がみられる。
動脈造影X線像で動脈塞栓が確認されます。脳動脈塞栓では運動障害を特徴とした症状が現れます。
体内移行中の幼虫が中枢神経に迷入して運動障害、知覚障害を生じ、また、前眼房内に迷入して角膜混濁、紅彩炎などの症状が現れます。

