症状は包虫の占居臓器、大きさ、数によって異なりますが、主なる部位が肝臓と肺であるから、これらの臓器障害が現れます。
包虫が肝臓に形成されて症状をみるものが、肝包虫症です。
肝臓は著しく腫大し、表面は凹凸不整となり、内腔の分岐した包虫がみられ、腔内に透明な液が満たされています。
肝臓腫大によって横隔膜を圧迫し、また腹部臓器の機能障害を生じます。
肝包虫症の牛は慢性の消化障害が現れ、まれに黄疸を誘発し、また血行障害から腹水が認められます。打診で肝臓の濁音界は拡大し、右側最後肋骨部にまで達します。
直腸検査によって腫大した肝臓とその表面に散在する嚢胞を触れることもあります。
包虫が肺に形成され症状をみるものを肺包虫症といいます。症状は咳、呼吸困難ですが、打診上の変化も顕著でなく、結核、牛肺疫、間質性肺炎などと誤診されます。
家畜では包虫症の症状はあらわれにくいが、上記症状に加えて血液に好酸球増加症が著しい場合には本症を疑う必要があります。
一般には死後剖検によって発見されることが殆どです。
包虫症の予防
犬、猫の放飼いを禁止し、保虫動物の糞便に含まれる感染源(虫卵)の散乱を防ぐのも一方法ですが、実施は困難です。効果的な方法は、寄生犬の駆虫と糞便の処理です。
しかし、現在用いられている駆虫剤には、殺虫、殺卵の両効果を有するものはないので、虫卵検査器具の処理、排出虫を含む糞便の処理(熱処理)を厳重に行わないと、感染源を散乱させ、特に人体への感染の危険があるので注意すべきです。
また、感染の恐れがある中間宿主の臓器、組織を、犬などの終宿主に生食させないことです。
適確な治療法はありません。

