
メリノーはもともと、スペインを原産地とする毛用種で、これがスペインだけでなく、世界の各地に分布し、その土地土地で改良され発達しました。ラムブーイエ・メリノーもその一つです。
メリノーの起源については詳細不明ですが、紀元前にスペインに入って、在来種となったアジア家羊の子孫とヨーロッパ家羊の子孫との交雑によって作られたとされています。
元来スペイン地方は、オリーブなどのできる乾燥地帯で、ヒツジの飼養には適していました。したがって古くからヒツジの飼育と羊毛工業はスペインの重要産業でした。
中世紀のころ、スペインに入った農業に熱心な、ムーア人によってヒツジの改良が促進され、とくに14世紀の中期から政令によりヒツジの飼育者が自由に国内を移動放牧しうるように奨励しました。
当時スペインのヒツジは毛質において他より優れていました。このスペインからフランスへのメリノーの輸出は1770年ごろから始まっていますが、これがパリ南方のラムブーイエ牧場にも入りました。
そこで1801年以後、スペインからの輸入をやめて、新しい品種が作出され、それが、ラムブーイエ・メリノーです。
ラムブーイエ牧場の地区は、石灰質土壌でゆるやかな起伏地をなし、気候温暖で、牧草、麦類などのよく育つ恵まれた地方です。
ここで本種は、メリノー本来の毛質をもつ以外に、さらに強健で、良質の肉を加味した大型のヒツジの作出を狙って改良し、現在のような、毛肉いずれもよいものをうるに成功しました。
ラムブーイエ・メリノーはむしろ毛肉兼用種に近い。
ラムブーイエ・メリノーの外観
毛色は白、被毛はきわめて繊細、全身を覆い、顔の半分は被毛にかくれるくらい。四肢の下端にまで、被毛があります。
体格は大型で、体幅も十分あり、各部はよく充実しています。成体重は、雌70~80kg、雄100~120kg、雌は無角、雄は大部分有角です。
皮膚の皺が頭部だけにあるものと、横腹、臀部にもあるものとある。あまりにも皺の多いものは、剪毛が困難で喜ばれない。
能力
強健で、飼料利用性にとみ、群居性をもち、放牧に適します。産子率は125~150%で、子羊の発育も速い。毛量は雌、4.5~9.0kg、雄6.8~11.0kg。毛長は3.8~7.5cmです。
肉質はメリノーのうちで最高、早肥で、枝肉歩留は45~50%、とくに長毛種との雑種は肉用としてきわめて良好です。
分布
フランスのほか、ドイツ、ロシア、イタリア、北アメリカ、カナダ、南アフリカ、南アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなど、世界のすべてのめん羊国に分布しています。
本邦でも、大正5年(1916)以来、主としてアメリカから輸入されたことがありますが、現在はいない。
