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畜産公害とハエ ~ ハエの習性

ハエの習性 家畜害虫

 
 

季節的消長

 
 
ハエの飛翔活動は気候と密接な関係をもっています。南北に細長い本邦では、九州、沖縄の事情と北海道のようなところでは、飛翔活動の様子がかなり違っているのは当然です。
 
 
採集されたハエの総数は3月ころより急激に増加しはじめ、6、7月をピークとして盛夏の8月には一時減少しますが、秋になると再び増加する傾向を示しました。
 
 
春先早く出現するのはヒメイエバエで、次いでオオイエバエ、イエバエの順に出現するようでした。
 
 
また、冬でも少数のハエは住宅内、畜舎内を飛翔していました。
 
 

成虫の習性

 
 
ハエの成虫は種類によって日中の活動場所が違っています。
 
 
屋内性のハエは公害問題を起こすもので、住宅や畜舎内で活動していることが多い。ハエの活動は気温や明るさによって左右され、晴天の日には活発に飛びまわっていますが、雨天や曇天の日では気温がさがり、照度も低いので静止していることが多い。
 
 
また、ハエは強固な翅をもっていて飛翔力が強いので、数kmも飛ぶといわれています。しかし、イエバエなど屋内性のハエは人間生活と密接な関係にあるので、それほど遠くまで飛ぶ必要はないと思われます。
 
 
ハエ防除ということからすると、一般的にハエは発生した場所から半径400m以内を飛びまわっていると考えてよいようです。
 
 
屋内性のハエ、とくにイエバエは住宅内の台所付近に多いということは、温度、湿度、照度など物理的条件によるほか、イエバエの好む餌が台所などに非常にたくさんあるためと思われます。好む餌は、砂糖、牛乳をはじめ多くの食物が含まれています。
 
 
家畜の配合飼料はトウモロコシや大豆の粉砕したものや、魚粉、その他ハエの好むものからなっています。それで飼料置場や給餌器の上には多くのハエがとまっています。
 
 
このように、家屋侵入性の強いハエが住宅内や畜舎内に多いのは、ハエの好む餌とも大きな関係を有するためと考えられます。
 
 

幼虫の習性

 
 
家畜糞便から多くのハエが発生し、ハエ防除の発生源対策にはこの幼虫の習性を知らなければできません。家畜糞便はハエの幼虫にとって、よい生息場所であるとともに、よい餌となっています。
 
 
ハエの雌は幼虫の餌となるようなものに産卵します。
 
 
普通は卵の形で産みますが、ニクバエでは1齢幼虫を産む(雌の体内で卵はふ化する)。雌は長い産卵管を堆肥などのものかげに差し込んで、乳白色楕円形をした長さ約1mmの小さな卵を産みつけるので、自然界ではわかりにくい。
 
 
イエバエの雌は1回に50~150個の卵を産み、死ぬまでに4~5回産卵します。
 
 
産卵された卵は、温度などによっても違いますが、短時間でふ化して1齢幼虫になり、さらに脱皮しながら発育して蛹になります。
 
 
幼虫は乾燥、高温に弱く、暗いところを好みます。
 
 
また、酸素のあるところでなければ呼吸困難をきたしてしまいます。そこで、地面に野積した堆肥の中で幼虫は、どんなところに生息しているかというと、ハエの幼虫は最表層からほんの少し内部に入ったところに多く生息しています。
 
 
それでは、ハエ幼虫の発育段階において何度くらいが適温かというと、多くの研究者により数字が違っていますが、活動の盛んな適温は、卵:35~36℃、1齢幼虫:30~37℃、2齢幼虫:35℃前後、3齢幼虫前期:36~42℃、3齢幼虫後期から蛹にかけて:15~30℃でしょう。
 
 
3齢幼虫はやや高温に適し、蛹化するころになるといくぶん低温のところに移動します。ハエは生物なので当然空気中の酸素がなくなれば窒息死してしまいます。
 
 
ハエの幼虫を飼育するとき、飼育容器をビニールなどで密閉すると、培地内にいる幼虫は苦しがって、ビニールの内面にはりついて死んでしまいます。
 
 
ハエはどのくらいの空気を必要とするかというと、幼虫期と成虫期はきわめて多量の空気が必要です。元気旺盛なイエバエの3齢幼虫は40℃のとき、1時間に70~80㎖の空気を呼吸しています。
 
 
いいかえると、空の牛乳瓶(200㎖容器)を密閉し、その中に250~300個体の3齢幼虫を入れると、1時間くらいで死んでしまいます。
 
 

ハエの発育

 
 
ハエ類の発育は気温、培地の温度などによって違っていますが、概して日数は短い。しかし、卵は夏期では1日くらいで幼虫になり、1齢、2齢の幼虫期もかなり早く発育しますが、人の目につきやすい3齢幼虫期は長い。
 
 
ハエの飛翔の多い時期では卵から成虫になるまで、2~3週間とみてよいのではないでしょうか。
 
 
また、ハエの越冬はイエバエ、ヒメイエバエ、クロバエなどは成虫、幼虫、蛹でしますが、家屋内や畜舎内が暖房で暖かくなってきた今日では、成虫での越冬がかなり多くなってきました。

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