ハエの発生源、いいかえると幼虫や蛹の生息場所は、幼虫の餌、つまり有機物が豊富にあり、温度、湿度、酸素(空気)などが幼虫や蛹の発育に適している場所です。
このような場所は家畜の糞便ばかりでなく、人糞や家庭から排出される残飯、厨芥なども含まれています。しかし、後者は環境衛生の発達した今日では、放置されることなく処理されることがおおい。
よって、畜産農家でハエが多いということは、やはり家畜糞便から多数のハエが発生するためと思われます。
豚の糞便から発生したハエを調べた成績は以下のようです。
●ハエの種類
Musca domestica vicina:イエバエ
●発生数
4,332
●%
78.2%
●ハエの種類
Muscina stabulans:オオイエバエ
●発生数
411
●%
7.4%
●ハエの種類
Fannia canicularis:ヒメイエバエ
●発生数
77
●%
1.3%
●ハエの種類
Stomoxys calcitrans:サシバエ
●発生数
86
●%
1.6%
●ハエの種類
Ophyra leucostoma:ヒメクロバエ
●発生数
635
●%
11.5%
●ハエの種類
O.chalcogaster:チャバネヒメクロバエ
●発生数
635
●%
11.5%
●ハエの種類
Hylemyia sp.:ハナバエ科の種
●発生数
635
●%
11.5%
●ハエの種類
Sarcophaga melanura:シリグロニクバエ
●発生数
635
●%
11.5%
●ハエの種類
Chloropidae:キモグリバエ科
●発生数
635
●%
11.5%
●ハエの種類
Sphaeroceridae:ハヤトビバエ科
●発生数
635
●%
11.5%
●ハエの種類
Milichiidae:クロコバエ科
●発生数
635
●%
11.5%
●ハエの種類
Phoridae:ノミバエ科
●発生数
635
●%
11.5%
●ハエの種類
Sepsidae:ツヤホソバエ科
●発生数
635
●%
11.5%
●ハエの種類
Scatopsidae:ニセケバエ科
●発生数
635
●%
11.5%
発生数、計:5,541、100.0%
多数の種類のハエが発生しましたが、その発生数からいうと、イエバエが圧倒的に多く、3/4以上を占めていました。
家畜糞便からは多数のハエが発生しますが、ここで問題とする家屋侵入性の強い、イエバエ、ヒメイエバエ、オオイエバエならびに吸血性のサシバエをとりあげ、その他のハエを一括してみると、下記のようになりました。
家畜糞便から発生したハエの発生率総数
●糞便の種類
牛
イエバエ:13.8%
ヒメイエバエ:-%
オオイエバエ:0.2%
サシバエ:10.6%
その他:75.4%
豚
イエバエ:78.2%
ヒメイエバエ:1.3%
オオイエバエ:7.4%
サシバエ:1.6%
その他:11.5%
鶏
イエバエ:12.5%
ヒメイエバエ:0.2%
オオイエバエ:0.3%
サシバエ:4.8%
その他:82.2%
”その他”のハエを除く
牛
イエバエ:56.1%
ヒメイエバエ:-%
オオイエバエ:0.8%
サシバエ:43.1%
豚
イエバエ:88.3%
ヒメイエバエ:1.5%
オオイエバエ:8.4%
サシバエ:1.8%
鶏
イエバエ:70.2%
ヒメイエバエ:1.1%
オオイエバエ:1.7%
サシバエ:27.0%
牛糞、鶏糞、豚糞とのハエ発生状態のもっとも大きな違いは、前二者では、”その他”に属するハエが多く、後者ではイエバエが多いことです。
しかしながら、”その他”というハエ類を除いてみると、牛、豚、鶏の糞便いずれからもイエバエの発生がもっとも多かった。
また、牛糞や豚糞からはサシバエが発生するということは、その吸血嗜好性からみてもわかります。しかしながら、鶏糞からサシバエが発生するということは、酪農家と養鶏家のトラブルの原因となります。
さらに牛糞からヒメイエバエが発生しなかったということは、この調査では発生しなかったということで、常にまったく発生しないということではありません。

